女子学生服で6年間を過ごした僕の実話

ネイビーさん

女装中学生編

第1話 目覚め

中学校に上がると、僕も仲の良かった友達も隣の小学校から来た知らない人も、皆2種類の服を着ていた。

僕は真っ黒な詰襟にスラックス。

女子は白い三本線の入った紺の関西襟のセーラー服。胸元には明紺のスカーフを結び、ジャンパースカートを下に履く。

普通の男子であれば、それを関西襟と呼ぶことや、中がジャンパースカートである事を知ることはない。


そう、僕は知っていたのだった。

それがどんな洋服であるかを。


5つ歳の離れた姉は既に高校生。そのため着られる機会を失ったセーラー服はクローゼットに眠っていた。

毎週土曜日を狙い、私はそれに身体を通した。姉は女子としては多少高身長であったので、意外にもすんなりと着られた。放置されていたために若干カビ臭さもあったが、生地からは植物のような爽やかな香りがする。

私はこの服で学校に通えたらどんなに良いかと考えるまでになってしまった。


その日は無防備にもそのまま寝てしまったようだ。目が覚めた時には夕方が近づいていた。

そろそろ脱がなくてはと思ったその時、家のドアを開けようとする音。幸い鍵がかかっており、こちらに来るまでに少し時間がかかる。神様のいたずらか、慌てて脱ごうとしている私を嘲笑うかのように制服が脱げない。

結局先に鍵が空いてしまい、その姿をよりによって母に目撃される事になってしまった。


怒られるかもしれない。

そう思って冷静に脱ごうとした私の手を母が止めて一言、似合ってると口にした。

聴き間違えだと思ったが、母は脱がなくていいと続け、外しかけのボタンを留めてスカーフを整えた。怒られるどころか褒められた気分になってしまった。

結局その日は風呂に入るまでそのまま過ごすように言われ、本来中学校で着られるそれを私は家で楽しんだ。


風呂から上がると、母の部屋に呼ばれた。綺麗に吊るされたセーラー服を見ながら母は僕に訊ねた、ただ着てみたかっただけなのかと。僕は頷くが、母は納得していない様子で続けた。

もし僕が女子学生服で通いたいと思っているのなら否定はしない。明日新しいのを買い付けて中学校に話しに行くから本心を教えてくれ、と確信を突いた質問をされ、思わず頷いてしまった。


私の学生生活が変わった。

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