第77話 頑張ったウィーク前半戦

GW、いわゆるゴールデンウィークがやってきた。後半に帰省の予定があったので、序盤に2日間連続みんなで遊んだ。

この連休を充実させるべく、連休前最後の学校の日の放課後にみんなで宿題会をした。私たちのクラスの特徴として宿題はあまり出ない方だったが、連休となればそれなりに出ていた。完全下校ギリギリだったが、なんとか終わらせることができた。


そんなこんなで迎えた初日は船で30分ほどで行ける近場の離島に来ていた。もう気温は初夏に近づき、私たちの格好もそれに合わせた薄着だ。

この島は特に目立ったものこそないが、歩いて回るにはちょうど良い広さだ。海を見渡せる位置に綺麗な花畑がいくつも存在していて、ピクニックには適した島である。

同じ目的の人が多かったらしく、フェリーは人で溢れていた。

快晴の空の下で島を散策した。普段私たちの暮らす地域とは全く違う風景にみんなで感動していた。

結局1日歩いて食べて、綺麗な花畑をめぐって、それだけで一日が終わった。

いつもと全く違う場所に来ているというだけで私たちにとっては冒険のようなものだったし、非日常感で溢れていた。


その後私たちが帰宅した先は友人宅だった。

リビングを使ってたこ焼き、いわゆるタコパをさせてもらったのだ。

私も最近女子力がついてきたのだろうか、初めてやったのにうまくひっくり返すことが出来た。一方友人たちはというと、みな力のかけどころが悪くて崩してしまっていた。

おかげでいくつか辺鄙な形の、味だけは良い食べ物が出来上がってしまっていた。

そこからは私がメインで作りつつ返し方のコツを伝授し始めた。その効果が早速現れたのか、後半からは綺麗なたこ焼きが並んだ。

当然ながらこの日はそのままお泊まりで、大浴場並の大型浴槽を構えるお風呂にみんな一緒に入った。

友人はともかく私も、もう素の自分を見られることに抵抗感などなかった。それにもう跡形もないのだ。

楽しいお風呂タイムは、いつの間にか広い浴槽を最大限に生かした水遊びになっていた。

暑い中動き回った挙句たこ焼きの煙も浴びたため、当然ながらいい匂いの汗をかいていた。遊んだ分だけその汗がきれいさっぱり流れたのは間違いないだろう。


お風呂上がりのパジャマはみんなそれぞれに好きなスポーツウェアだった。

カラフルなスポーツウェアの五人衆は、今度はボードゲームを囲んでいた。最近勝てていないので何としても勝ちたかったが、結果的に多額の負債を抱えたままボロ負けした。100億ドルを獲得した家主の友人とは天と地の差である。

楽しい時間もあっという間に過ぎ、体力的にも限界に近づいた頃に仲良く就寝した。


明日も予定がある、ゆっくり寝よう。そう思いながら寝た私たちは、結局朝6時過ぎにバッチリ目を覚ました。もう嫌になるほど身体に早起きが身に付いている。連休中でさえもそれを抜け出せないのはいいことだと自分に言い聞かせた。

誰一人二度寝せず、恒例の早朝散歩にそのままの格好で、歯磨きと髪だけ結んで出かけた。

近所の小高い丘の上にある公園まで歩き、とっくに高い位置まで上がっている太陽を見て日の出なんて冗談を言った。そんな私たちを笑うかのように、若干かかっていたはずの雲が姿を消し、太陽からのフルパワーの紫外線を浴びた。そんな中でも慌てず、ゆっくり友人宅へと帰宅した。


この日は野球観戦へ出かけた。今まであまり観戦には興味が無かったのだが、幼少期から毎年欠かさず観戦しているという友人の熱意に押され、全員で観に行くことになった。

初めて入った球場の、そのスケールに圧倒された。4人で同じリアクションをしていたようで、いやいやまだ始まってないよ。本番はこれから。と笑い飛ばされてしまった。

美味しそうなスタジアムグルメとやらを一通り見回したが、昨日のカロリーを気にしていた私たちはみんなでパスタサラダを食べた。結果的に足りなくて後ほどチキンを頬張ったが気にしないことにした。

試合が始まると、様々な歓声や応援が飛び交った。会話なんてできやしないほど大人数の声の集合体だ。

友人がルールを解説してくれるので存分に楽しめたが、時折明らかに硬いボールが高速で観客席に飛び込む様子は少し怖かった。

結果的に応援しているチームが勝ち、試合後も様々なイベントがあった。顔も名前も知らない選手が試合の感想を言っていたのだけは覚えている。


この日でGWみんなで集まるのが最後だったので、締めにイタリアンのお店でディナーした。2日間とは思えないほど楽しかったし、より一層絆も深まった気がした。

でも、後に私たちが全員野球好き女子になることをこの時は誰も知らなかったはずだ。

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