第8話 面談
1年生が終わって春休みに入る。成績はまぁまぁと言った具合で、ほとんどの科目が5段階の4以上ではあった。
終業式も終わり、昼から部活動か帰宅の時間になったとき先生から呼ばれそのまま面談になった。今までも何度か面談はあったが、今回ばかりは少し様子が違った。私は先生の話に耳を傾け、詳しいことは次の日に校長と母を入れて四者面談をするということでその日の面談は終わった。
翌日、私が女子学生服で通い始める時と同じメンバーでの面談が行われた。内容自体は前の日に話していたので単なる復習になった。校長も担任も母も繰り返し念押すように意志を確かめてくれたが、私の答えはもう決まっていた。
そうして私は、2年生から女子生徒となることが決まった。
見た目だけ女子中学生らしい生活を続けるよりも、女子生徒になった方が良いのではないかという学校からの提案であった。
もちろん性転換はしないし、戸籍を改めたりもしないが、学校内では女子生徒として生活する。
私にとっては有難い提案であった。担任の言う通りここまでこだわって見た目だけの女子中学生を続けた以上、いっそ女子になってしまいたいと思ったことは何度もあった。
学校側も女装中学生で居られるより、女子中学生で居られた方が楽だったのではないだろうか。
この決定に喜んだのは女子の友人達であった。今までも私を本当の女子だと思って接してくれていた。それは今後もあまり変わらないのだが、心のどこかにあった壁が無くなった気分だと言ってくれた。
友人達はお祝いと言って中学生でも使いこなせる簡単な化粧セットや香水、アクセサリーをくれた。
正式に女子中学生になるからには今までのような生活は出来なくなる。女性としての作法や言葉遣いをこれまで以上に叩き込まれた。女子と過ごす中で自然と仕草や言葉遣いは身に付いていたので、難しく感じることはほとんどなかった。
どうにもならなかった事が1つあった。部活動だ。運動部だったので公式戦は当然男女別。そこで性別がややこしい私の取り扱いは面倒になると思い、部活動は辞めることにした。
マネージャーでもすればよかったと後から思ったが、その時の私は女子中学生を謳歌することを優先した。散々配慮してもらったのになんとも自分勝手である。
短い春休みも終わりが近づいた。次に撮るプリクラは本当に女子中学生5人組で撮れそうだ。
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