第7話 周囲の理解
3学期になり、私は可憐な女子の姿にすっかり慣れてきた。実は私服でもスカートを履いたし、基本は女物で揃えた。私のお気に入りは作業服のようなオーバーオールで、ほぼデザインの変わらないそれを6着ほど持っていた。あれ以来切らなかった髪も伸びすぎたため、女性向けの理髪店で散髪した。
私が素晴らしい女装中学生ライフを送れているのは、母を始めとした周りの理解があってこそである。
母は私が女子への憧れを抱いているのではないかと小学校の時から思っていたらしく、中学入学前は詰襟の採寸に行くかどうかかなり迷ったそうだ。いつ私がそのような意志を示しても良いように準備していたため、女子学生服に切り替える際の行動が早かったのだ。
私の身の回りはというと、誰も私を笑ったりはしない。むしろ男子も女子も歓迎してくれた。男子の友達ももちろんいたが、女子の友達が多かった。形だけでも女子中学生の容姿でいる以上何ら不思議なことではなかった。
本物の女子達はどうもプリクラが好きなようで、度々制服で中心地に出かけては毎度毎度撮っていた。セーラー服はやはり女の子達にとって憧れの衣服の対象なのだろうか、皆私服のように着て遊んでいたし、私もそうだった。
男子達はというと、やはり女子の制服に興味があるらしく、体育の前後にはちょっとしたお着替えイベントがあったりした。
私もその時は男子の制服を久しぶりに着たりしたが、女子の制服を着ていた時間の方が圧倒的に長かったので新鮮だった。
中1の3学期ともなれば、塾通いを始める子が多少なりとも出てくる。良い高校に行きたい人は早めに準備するのであろう。そこでふと思ったのが、高校では男子に戻るべきなのかどうかという難題であった。今は中学校や仲間たちの理解の元この生活を維持できているが、高校では通用するのか。
それはその時がきたら考えようと割り切ることにした。
その頃、中学校では性教育の機会が設けられた。中学生は特に性を意識してくる年齢にあたるため、今の時期からやっておく必要があるらしい。しかし私の性教育は少し特殊だった。それは男女に別れて開かれるのだが、男子の方に1人セーラー服で参加し、その日に居残りして女子の方をビデオで観るという私専用のプログラムであった。先生方の配慮には感謝したが、この本当の意味を知るのはもう少し先であった。
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