女子中学生編

第9話 今日から私は

始業式が行われた。今日から私は正真正銘の女子生徒になる。クラス替え名簿の名前横にある性別欄が女になっていて改めて実感した。くわしくは言えないが、私の名前は元から女性にもよくある名前だったので、その点にしても違和感がなかった。

昨年同じクラスだった男子達が会いに来てくれたが誰1人驚かず、むしろやっとかと言ってくれた。もう誰も去年からの私を男子だとは思っていなかったようだ。

昨年別クラスであまり交流のなかった生徒達には、新しい担任の先生から説明がされた。皆納得してくれたらしく、本当に有難く思った。

特に私の事を一切知らなかったとある女子生徒は、本当に生物学上の男子なのかと驚いていた。それくらい私の容姿は紛れもなく女子中学生だったのだ。

因みにいつもの5人組のメンツは全員が同じクラスとなり、みんなで喜んだ。これも異動になってしまった昨年の担任が、私を想って便宜を図ってくれたのだろうと思った。

始業式は昼で終わるため、私たち5人は早速遊びに出かけた。

今まではただの男子中学生の制服女装であった行為が、ごく自然な女子中学生の制服着用になったことは素直に嬉しかった。


女子生徒になったことが、私のスクールライフに様々な変化をもたらした。体育の授業の男女別種目には女子側で参加、それまで別室で受けていた生活検査も普通に女子として受け、男女別の行動に関する全てに対して女子として参加することとなった。

水泳の授業にも女子用の水着を買って参加することになるだろう。

もう誰も私が女子であることに疑問を抱かなかったし、それを軽蔑する人も居なかった。


何よりも大きな変化が、いつでも男子に戻れるようにとクローゼットに保管してあった詰襟が私の手元を離れたことだ。どこの学校にも大抵予備の学生服が常備してあるのだが、その1つとして寄付させていただいた。

入学式を含めても両手で数えられるほどしか着ていなかった、どちらかといえば新品に近い詰襟もまた新たな道を歩み始めた。


ほとんどの制服のスカートには、ファスナーのある左側にポケットが付いている。私の制服は少し高めの良いモノだったのでこれが両側にあった。しかしこのポケット、物を入れると変に膨らんでしまうのでハンカチ以外は何も入れないようにしていた。


体育祭の練習が始まり、また夏服の時期が近づいてきた。私は移行期間な入るなり直ぐに夏服にシフトした。もちろん丸襟のブラウスを選んだ。

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