第22話 まともな日常
朝起きて、朝食を食べて歯を磨く。
いつも通りジャンパースカートとセーラー服に袖を通す。私のひとつのこだわりは、毎日スカーフを結び直すことだ。手間はかかるが毎日新鮮な気持ちになる。
家を出て友人2人の家に立ち寄って学校へ行く。たった数分の道のりだけど楽しかった。
正門では毎朝あいさつ運動をしている。朝から生徒会と先生ら総勢30名程の人間から挨拶を受ける。正直言ってしつこいとすら思っていたが、バッチリ目が覚めるので眠い朝には効果抜群だった。
靴箱に白地にピンクのラインが入ったスニーカーを入れ、学年カラーが入った体育館シューズ兼上靴に履き替える。
教室に着くなりいつもの5人が誰かの席の周りに集結する。朝のHRまでのブレイクタイムだ。
HRでの諸連絡が終わってから15分後には授業が始まる。基本的に授業を面白いと思っていたので積極的に参加した。しかし私だって人間だ、時々寝ることもあった。
授業が4つ終われば給食の時間になる。例によって私は男子の時から大食いだった名残で、女子としては異例なレベルの量を食べていた。毎回何かをおかわりしていたのだ。
牛乳は嫌いだったが、最初に飲み干してスープなどで後味を消し去るようにしていた。
セーラー服のスカーフはしばし給食のスープと触れ合うことがあった。私がいつもスカーフを外して食べるようにし始めたら、いつの間にか女子生徒は皆外すようになっていた。
食後は昼休みから掃除へと時間が移る。
昼休みは日によってやることを変えていた。
外へ出てボールで遊ぶ日もあれば、鬼ごっこをする日もあった。図書館でゆっくりする日もあったし、教室や廊下でお話するだけの日もあった。もちろん勉強する日だってごく稀にだがあった。
でもどんな昼休みにも、必ずいつもの友人がそばに居てくれた。
掃除は班ごとに週替わりで場所をローテーションされる。中でも一番楽しかったのは校長室の掃除だった。いくらするのか考えたくもないような家具達をどかしながらする掃除は、スリリングと探求心が入り交じっていた。
掃除が終わればすぐに授業が始まる。
午後一発目の授業は眠くなりそうで意外と眠くならないものだ。
2回の授業が終われば帰りのHRが始まる。帰りのHRでは放送が挟まり、決して有益とは言えない情報を聴く時間がある。
なんのため、誰のための情報なのかよく分からないまま聴いていた。
16時頃私たちは教室を跡にする。
セーラー服の少女が5人、寒い北風にスカートをなびかせながら帰宅する。
家に着くなり制服を丁寧に掛け、遊びの予定があるならすぐに着替えて出ていく。
時々制服のまま行くこともあった。
コレが私のまともな日常。
今日もいつも通り学校へ向かう。
今日は挨拶運動に生徒が一人もいない。教室に着いた私たちが談笑する時間もなかった。
今日は期末テストなのだ。期末テストともなれば遊んでいる暇はない。1秒をも惜しんで最終確認をした。
給食後もテストがあった。私は全力で集中して乗り切った。
結果は全体的に7割超えだったのでまぁまぁ良かったのではないかと思った。
コレも私のまともな日常。
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