第37話 冬がはじまるよ
季節は本格的に冬になった。寒いので今日から防寒スタイルに移った。
下着の上にカーデガンを羽織り、ジャンパースカートとセーラー服を上から着る。腰から下には120Dもある超厚手のタイツを履いた。
ここまでしていれば凍えることなんてないのだ。
この時期になれば学校の授業もかなり受験を意識したものへと移り変わる。授業内での演習ひとつひとつに対して集中力が求められるのだ。私は相変わらず国語数学でトップクラスの成績を出し、理科社会を平均よりは上でこなし、そして英語が苦手だ。
休み時間になっても、気になる点は成績がいつもトップの友人に軽く聞いたりしていた。それだけ私は必死だったのだ。
そんなある日、いつも通りの面談があった。1年生のあの子も担任も受験期の私に考慮してくれたようで、塾のない日に30分程で済むように設定してくれていた。
私と同じ境遇を辿る1年生の子も、すっかりセーラー服姿が板に着いていた。初めて会ったのは夏服だったし、よく考えれば彼女のセーラー服姿を見るのは初めてだったかもしれない。髪も私と同じくらいに伸びていたし、声もかなり高くなっていた。
両担任は男性教員で、そこに私たちがいる。このグループには生物学上男性しかいないのである。当然男性の身体の方についても聞かれた。
私はもう心の中に女性としての意識が芽生え始めているのか、あれ以降1度も反応していない。
一方でその子は今でも時々自然と反応してしまうらしく悩んでいた。綺麗なスカートのプリーツの自然な姿を、女の子らしからぬ方法で変形させてしまっているようだ。その点については、タイトなスパッツで抑えつけるのが1番だと私なりにアドバイスした。
こういった私の経験からくるアドバイスが彼女の学校生活の助けになっていたようで、すぐに実践に移してくれていた。
気温は日に日に下がり、手洗い場の水が外の気温を象徴するように低くなりつつあった。
少しでも身体を温めようと、昼休みには必ず外で鬼ごっこをした。
首元を強烈な風が抜けていって寒いので、行きだけでも暖かくしようと白いマフラーを巻いて登校した。
セーラー服は見た目の重厚感とは裏腹に、首から胸元が大きく開いていて寒いのだ。この点はブレザー制服の方が快適である。でもセーラー服ほど女子中学生を華やかに彩る服はない。私はそれでもセーラー服が大好きだ。
またある日、朝から職員室に呼ばれた。
先生は私を応接室に連れて行った。そこには知ってる人がいた。例の女子校の先生だ。
女子校では私にパンフレットを送付したあと、仮に私が入学を希望した場合受け入れるか否かかなり議論になったそうだ。結果的に受け入れ可能との判断になったらしい。
希望する場合は迷わず出願してくださいね、との事だった。学校側の寛大な判断により私の選択肢を増やしてくれたのだった。
私立も県立も、何度か試験を受けるチャンスはある。しかもこの女子校は試験日を微妙にずらしてあり、併願が簡単にできるようになっている。せっかくだし受けよう、そう思えた。
さらにそんな私の為に、来週の平日に特別体験入学の機会を設けてくれるとの話を持ちかけられた。学校からのゴーサインも出ており、欠席にならずに参加出来るとのこと。私は迷わず行くことにした。
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