第25話 3年生0学期
よくあることだが、2年生3学期は3年生0学期だと先生が言う。
誰が考えた言葉か知らないが、受験生の自覚を持って早くから取り組めということなのだろう。
私としては心置きなく女子中学生として学校生活を楽しめる最後の3か月という認識の方が強かった。そのため今までに増して遊ぶ回数が増えつつあった。
勉強に対して手抜きはしなかったが、今から本気でやっても受験まで気持ちが持たないと思う。そのため受験生としてのスタートは絶対に4月からと決めていた。
ある日の昼休み、極寒の中いつもの5人でチームを組み、同じクラスの別の女子5人で組まれたチームとグラウンドでサッカー対決をした。
セーラー服10人ではさすがに見分けがつかないので、相手の女子チームは上から体操服のジャージを着て試合に挑んだ。
私たち5人組は日頃から運動を断続的にやっていたので自信があった。結果としては全員得点を決めるなどして8-1で圧勝したのだった。
しかしながら私たちのプレーは思った以上に本格的で、ボールを全身で受けた影響でセーラー服のいたるところに砂が付いてしまった。
先生に汚しすぎだと軽く怒られながらその日はそのまま過ごして、家に着くなりすぐに洗濯してもらった。男子達には笑われたし情けない話だが本当に楽しかった。
またある日の昼休み、私たちは図書館で本を読んだ。
それぞれが読む本も様々で、私はドラマにもなった、変人科学者が事件を解決する話を特に読んでいた。
日によってはその場で借りて教室に戻ってから読むこともあった。その方が図書館で読む時よりずっと面白いのだ。
特に雨の日は、アウトドア派の私たちでも外に出ようとは思わないのでいつも図書館へ行っていた。
放課後に5人で集まって勉強する機会も増えてきた。自転車で15分ほどのところにある自習可能な図書館で2時間ほど勉強して帰宅し、再集合して1時間の運動という日々が続いた。
母はそんな私たちを健康的で良いといつも褒めてくれていた。
女子中学生だけで夜にそんなことをするのは危険だと思われそうだが、いつも行く公園は人通りも多くて照明設備もあったのが幸いだった。
こういった生活を続けた結果学年末テストでは成績が過去最高に良く、全科目で8割5分以上をマークした。1番勉強のできる友人が9割以上だったのでちょっと悔しかった。
冬休み前半は一日中遠くに出かけてショッピングしたり、一日中運動したりする日もあった。
迎えた冬休み後半には、私は入塾手続きをしに塾へ来ていた。本当は4月からと言いたかったが、母の圧に押されて3月末から入塾することになった。
塾側にも私の事情は話してあるが、学校と違って過ごす時間が短いことから特に配慮を必要とすることは無かった。
手続きを終えて塾から出ようとした時、なんと偶然にも友人の1人が同じく入塾手続きをしに来たのだった。1人だけでも知り合いがいると考えたらかなり楽になった。
結局友人とは塾内で同じクラスになり、1年間仲良く勉強することになった。
3年生0学期は、遊びも運動も勉強も充実していてまさに文武両道と言えた。いよいよ3年生だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます