第19話 修学旅行初日

学校からバスで駅へ、駅から新幹線で関西へと旅立った。新幹線の座席は班ごとに割り振られた。

新幹線の座席は左右に2-3で別れている。有名な話だが、2人以上のグループにおいてどの人数の組み合わせでも必ず1人になる人が出ないように工夫されている。

私たちは2-3に別れて隣の列同士で座った。


初日の昼食では、新幹線の中で駅弁を食べた。新幹線移動の間、昼食まで寝るつもりでいたが、結局おしゃべりして一睡もせずに新大阪まで辿り着いた。新大阪からはバス移動で、海沿いのテーマパークへ向かった。本来修学旅行のシメと言えばテーマパークなのだが、この修学旅行ではスケジュールの都合上初日がそれにあたった。


着いて1番に、黄色い小人らしきキャラクターが描かれた黄色いパーカーをみんなでお揃いで買ってセーラー服の上に着た。オーバーサイズにしたので分厚いセーラー服の上に余裕を持って着られた。お揃いの服の話は新幹線の中で既に行われていたので、入場から僅か5分で購入が完了した。制服以外で5人でのお揃いは初めてだったので本当に嬉しかった。しかも修学旅行で来た学生限定で、同じキャラクターのボールペンのプレゼントがあったので遠慮なく貰った。


その後はアトラクションへと向かった。このテーマパークでは背中の方向に進むジェットコースターが有名だ。私たちはコレに並ぼうとしたが、この日は生憎の強風で運休していた。メンバーの1人が怖いと言っていたのでちょうど良かったのかもしれない。

メインを失った私たちは、室内ジェットコースターや子供向けのゴーカートがある広場などを回り、締めには1000円もするパフェを食べた。

もちろんお土産もしっかり購入した。家族みんながサファリパークをテーマにした映画が大好きだったので、それを模した雑貨を買っていった。


楽しかったテーマパークも帰りの集合時間が迫ってきた。私たちは最後にスタッフの人にカメラを渡し、メインストリートをバックに5人並んで、頭の上でハートのポーズをして記念写真を撮ってもらった。

私たち5人組は集合時間2分前に所定の場所に着いて、無事みんなと合流した。

5分前行動してなかったと後で先生にひとこと言われたが、間に合ったのでいいでしょと言わんばかりの態度をとってみた。


ホテルに着くなり大きな宴会場で一斉に食事をとる。ホテル到着後は服装が自由だったので、ジャージのズボンとTシャツ、その上からさっき買ったパーカーを着て向かった。大半が真面目なのか制服で来ていたので逆に目立つ形となった。

旅館風のホテルなので食事も豪華な和食が中心だったが、かなり美味しかった。

食後はその場ですぐに班長会議があり、明日の予定について説明がある。明日は班ごとにジャンボタクシーに乗って京都を1日かけて巡るのだが、雪の予報があり中止もしくは短縮の可能性があると言われた。どうか中止になりませんようにと祈った。


部屋に戻るなり明日の連絡をすぐに済ませ、私たちはジャンパースカートとパーカーに着替えた。この後夜会をするにあたって必要なお菓子と飲料の確保のために、ホテルを抜け出して近くのディスカウントストアへと向かった。明日の雪予報を予兆するような夜の京都の寒さに耐えながら5分歩いてお店に。

みんな思うがままにカゴに詰め、1500円前後の飲食物の確保に成功した。運良く先生に見つかることなく部屋まで戻ることができた。ホテルの人に挨拶されたが、それをいちいち報告なんてしないだろう。


点呼の際は食料を布団に隠し、その布団に1人寝たフリをしてもらって隠し通した。消灯後の見回りが終わったのを見計らって私たちの夜が始まった。もちろん両隣の女子部屋に迷惑がかからないように騒がないようにしながら、恒例の金のトランプとルーレットで人生を歩むボードゲームのコンパクトなものを使って3時過ぎまで遊んだ。


我ながら完璧な修学旅行らしい計画だったと思う。明日は7時起きだが、車移動が大半なので寝なくても平気だろうと思って夜更かしした。

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