第27話 着替え事件簿
今日も丸襟ブラウスの上にジャンパースカートを着用して学校へ向かう。今日から体育祭で踊るダンスを練習するらしい。私は気合いが入っていた。
今年も去年と同じアーティストの曲を踊る。相変わらずアップテンポでついて行くのが正直キツかった。そんなダンスでも1週間程で何とか1曲ミスなく踊れるようになった。
そして今年もリレーの代表になった。しかもアンカーにまでなってしまった
本気の私たちは、体育祭までの期間の週1.2回の5人での集まりで毎回ダンスの練習とランニングをした。
女子生徒である私は体育の際の着替えも他の女子と合同になっていた。私自身が見ても何も思わないし、ほかの女子達が私のことをすんなりと女子生徒として認めてくれていたことによってそうなったのだ。私自身そうなったことに抵抗はなかったし、もう女子トイレを使うことも何も思わなかった。
体育祭が近づく時期はもう暑いので大半の子が夏服を着ている。長袖ブラウスや冬用ジャンパースカートの子もいたが、セーラー服はほとんど居ない。
ある日の練習後、いつも通りに着ていた汗まみれの体操服を脱いで制汗剤を身体に塗る。落ち着いたらスリップに袖を通し、下にはサニタリースパッツを履く。上からジャンパースカートを着れば完成だ。
着替えも終わって授業に入る。だが授業中に謎の違和感を上半身に感じた。別に体調が悪いわけではないのだが。結局原因が分からぬまま授業は終わり、あまり気にすることなく友人とトイレに向かっている時だった。友人から制服入れ替わってるじゃんと指摘された。
普段気にも留めない名札をよく見ると、今まさに制服を着て教室にいるいつもの友人の1人の名前が書いてあった。すぐに戻って確かめるとそこには私の名前があり、着替えの時に入れ替わっていたことが分かった。
2人とも同じサイズ、同じ丸襟で同じブランドだったことから起きたことである。
すぐに着替えて事なきを得た。次からは着る際に内側のタグの名前を確認しようと思った。
私の違和感というのはウエストの位置だったのだ。生物学上男子の私は女子と同じようなハイウエストではないので、予めウエストが8cm下に来るように制服本体を調整してあった。そのためハイウエストのものを着ると違和感を覚えるのだった。
ダンスの練習を中心とした体育祭の練習はそれからも毎日続いたが、制服はちゃんと名前を確認してから着るようにしたので入れ替わりが起きることはなかった。
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