第59話 テストが終われば
今日でテストが終わる。テスト前にいろいろありすぎたせいで不安だったが、なんとか問題なく最終日までやってきた。
苦手な英語が最終日に回されているので、悔いのないように日付が変わってからも1時間ほど勉強した。
それでも十分な睡眠時間を確保出来ていたので朝はバッチリ目覚めた。
テストの日だってみんなで自転車通学は絶対欠かさない。今日も5人で学校へと向かった。
1時間目が大嫌いな生物だ。半ば諦めている教科だが、ある程度の点が取れるように努力はしてきた。なんとか食らいついて、合ってるかは別にして空欄を作ることなく解き終えた。
2時間目の最後となる科目の英語も、ひたすら叩き込んだ文法と英単語のおかげでペンがスラスラと答えを記入していった。おかげで大満足な感触を得た。
終了直後から渋い顔をするクラスメイトを見て優越感に浸りながら、バッグに最近友人とお揃いで買ったペンケースを静かに入れた。
それでもクラスメイトから出来具合いを聞かれたらすぐさま、全然出来なかったーと悲しげな顔を作って演技をした。まさに女優だし、これは高校生あるあるだ。
昼前に全てのテストが終わり、部活のない生徒はすぐさま帰路に就く。私たちはこれからカラオケに向かう。テスト後のお楽しみタイムだ。
相変わらず私たちの高校の周辺環境は恵まれている。自転車で最寄り駅の周辺まで走ればカラオケが3軒ほど立ち並んでいる。
その中でも1番フードが美味しく、設備も新しいカラオケに行った。運良くレディースデイも重なっており、私たちは格安で利用することが出来た。
空いているという理由で宴会用のステージ付きの広い部屋を案内されてみんなで思わず爆笑したが、ステージで歌うことなんて滅多にないから楽しみだ。最初にフードを大量に注文した。今日のカラオケは昼食も兼ねているのだ。
ドリンクでテストお疲れ様の乾杯をしてからジャンケンで歌う順番を決めた。私は2番目だ。
私は高い声も低い声も満遍なく出せるので歌える曲の範囲が広い。最初の曲は体育祭で踊った曲だ。
私がちょうどサビを歌っているとフードが大量に運ばれてきた。親子丼にポテト、オードブルやピザが所狭しと並んだ。
ドアを空けられたら恥ずかしいから歌うのをやめるという人は多いが、私は一切気にしない。ドア全開でフードが並ぶ間も歌い続けると、大学生くらいに見える女性の店員さんもニコニコしながら去っていった。
全員が1曲ずつ歌ってから昼食として、目の前の大量のフードを食べた。私も理想的な体型と健康を維持したいという意識が芽生えてきて、普段はちゃんと制限するようにしていた。だから今日は一斉チートデイだ。
ある程度食べ終わったところで2巡目がスタートした。
それぞれ曲の好みも異なるため、アイドル攻め、男性アーティスト攻め、女性シンガー攻め、懐メロ攻めなど様々な傾向があった。
全員かなり歌が上手で、ほとんどが90点を上回っていた。もちろん私もそうだ。歌は男子の時から自信があったし、声量もあるのでボーナス加点で点数がどんどん伸びて行った。
だが友人の歌に感心している場合ではない。今日の私たちには、最高得点の人は完全無料というルールがあるのだ。
今日はテスト後のお楽しみカラオケ会であり、同時に真剣勝負なのだ。だからみんなの歌で盛り上がりつつ、どうやったら高得点になるかずっと模索していた。
先程受けた英語のテストの問題用紙の裏に、名前と曲と点数が次々と記入されていった。
私は難しい歌こそ80点台だったが、ほとんどの歌で90以上をマークした。
しかしながら、友人の1人が98点をマークしたことで完全にやられたという気になった。
それでも負けじと真剣になった私たちは、制服のブラウスの上に着いていたリボンを外してボタンを解放し、長袖の袖を捲ってローテーション通りに歌い続けた。
結局フリータイム終了の18時まで98点は更新されず、無料カラオケの権利を手にすることが出来なかった。それでも楽しかったし、4人で割ったお会計はフードの量の割に格安だったので大満足の1日だった。
すっかり空腹になった私たちはお気に入りのイタリアンファミレスで夕食をとり、夜まで楽しんだ。
テストとその後のサバイバルなカラオケで疲れ、家に着くなり強烈な睡魔が襲ってきた。
今日は金曜日だし、明日は土曜日だが学校が休みなので本当にありがたい。
明日は午後からみんなで体育館の約束がある。テスト後は楽しみが満載だ。
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