彼女に2度告白した僕。けれど3度目はどうも無くしてしまったようだ
ここです。
第01話 2度目の告白
「これで2回目だけど、あなたが好きです。付き合ってください」
そう僕、
「気持ちは嬉しいけど、好きな人がいるから」
そうこのように断られることは分かっていたんだ。
彼女が好きな人も僕は知っていた。同じクラスでテニス部に所属している
それが分かっていてなぜ告白したのか。それは僕の心の迷いみたいなものだろうか。一度振られてからも好きだという気持ちは最初は変わらなかった。けれど告白によって知ってしまったこと、彼女に好きな人が居るということ。そして次第に分かった好きな人が誰かということ。そんな積み重ねが次第に僕の心に問い掛けてくる。
このまま好きで居て良いんだろうかと。
好きな人がいるのにしつこいと思われているんじゃないかと。
そしてそんな考えが次第に根本的な僕の心を蝕んでいき
彼女の何が好きだったんだろうかと。
なんで彼女じゃないと駄目だったんだろかと。
そしてそんな事ばかり浮かべていれば僕の気持ちが、心が壊れてしまうんじゃないだろうかと。
だから僕は心が侵される前に、純粋に彼女が好きな気持ちであるうちにもう一度だけ告白をしたんだ。最後にって。
「今井さんわかったよ。告白を聞いてくれてありがとう。先に帰ってて。さよなら」
僕がそう言うと今井さんは
「ごめんなさい」
そう言って駆け足で去っていった。
今井さんが見えなくなった後、僕はその場に座り込む。
「はぁ……ちゃんと伝えられたよね。壊れる前に彼女に聞いてもらえたよね。でも……これで終わりだよ。さよなら」
そして「さよなら」を言った瞬間に僕は胸、いや心からパリンと音がしたように聞こえたそんな気がしたのだった。
それから僕は教室に戻った。今は放課後。誰も居ない教室。そんな中、僕の机から鞄を取る。それにしても今回は涙も出ないなと僕は思った。心が割れたからか? なんて考えても僕にはわかるはずもない。あるのは悲しみというよりも何も無くなってしまったような亡失感のみだった。
教室から出て靴箱で靴に履き替える。外に出れば校庭では運動部が部活動をしていた。テニス部、野球部と各活動を頑張っているようだ。でもテニス部かあ……僕は男子テニス部が活動している方向を向いて眺めていた。真也はエース候補らしく離れた場所から見ても目立っていた。ああいうのがモテるのかと思ってしまうがそれでも嫉妬や嫌悪は沸かなかった。それは真也だからなんだろうなあと。真也とは結構長い間友人として関係している。親友に近いと言っても良いんじゃないかなって思う。そんな真也にそんな感情を向ける気にはさらさらなれなかった。
そんなことを考えながら真也を眺めていると
「危ない! 」
そんな声が聞こえるも遅かった。思いっきり僕の頭に何かが当たる。
パコン
僕は何事かわからなくてもとにかく頭が痛くて頭を抱えて蹲ってしまった。
「いてえ……」
僕はこんな言葉しか口から出なかった。痛すぎて痛すぎて……そんな僕に近寄ってくる人がいた。
「ごめんなさい。テニスボールを当ててしまって……医務室に行きましょうか? 」
と心配そうに女性が僕に話しかけてきた。でも僕には顔は見えない。だって頭抱え込んじゃってるから。
「ああ、いいよ。おかげて目が冷めたかもしれないし。ありがとう」
と僕が言うと
「えっと……頭大丈夫ですか? ほんとに。ボール当てられて「ありがとう」なんて言われても私としてはすごく困るんですけど? 」
とその女性は笑いそうになっているのを我慢しながら僕にそう告げてきた。
「ああ、気にしなくていいって。どうせ医務室行っても湿布貼るくらいだろうしね。それならもうそのまま帰るから。家も近いし」
そう言って僕は少し痛みが引いてきたので頭を抑えながらも立ち上がる。するとやっと相手の顔を確認できたのだが、どちらかと言うと可愛らしい娘のようだった。というのも今井さんにしか興味のなかった僕だから同じクラスでも名前がうろ覚えの人が多いわけで、他のクラスになると全くわからなかった。
だから僕はその女性のことをろくに見もせず手を振って帰ろうとしていた。するとその女性は
「あの。ちょっと聞いてもいいですか? 」
と彼女に呼び止められた上に尋ねられた。
「えっと頭痛いんで早くしてくれれば。で、なに? 」
と僕は頭がいたいので早くしてほしいと伝えると
「私を見てなにも思いません? 」
と聞いてこられたんだけど何が聞きたいんだろう。とりあえず
「ん? 可愛いとでも言って欲しいの? たしかに可愛いとは思うよ。で? それを伝えたからなにかあるのかな? 」
と僕は少し冷たい態度になってしまったかなと申し訳なく思いながらもそう答えた。すると彼女は
「わかりました。ありがとうございました。気をつけて帰ってくださいね」
そう言い残してテニスコートへと戻っていった。結局彼女が尋ねてきたことの意味はわからなかったけれど頭が痛いのでもうさっさと帰ろうと足早に帰宅していったのだった。
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