第15話 休日の訪れ
今日は休日、僕は惰眠を貪っていた。2度寝3度寝とだらだらとしていると
ピピピピ……
スマホから着信の音がなる。僕はその音で起こされ仕方なく着信をとる。ちなみに時計を見てみるとお昼を回っていた。
「なんで返事ないのよ」
そういきなり言ってきたのはアキさん。けれど僕は起きたばかりでアキさんの言っている意味がわからず
「おはよう、アキさん。僕、今起きたんで……なんのことかわからないんだけど。って部活は? 」
僕は答えながらもアキさんは部活のはずなのにと思わず尋ねていた。その僕の言葉にアキさんは
「今日は午前中だけで終わったの。だから一緒にどこか行かないかなあと思ってメッセージ送ってたのに全然返事がないんだもん」
そう少し膨れた感じの声で伝えてきた。だから僕はSNSを確認するとメッセージ着信が20件近く入っていた。あちゃーと思いながら
「ごめん。寝てて気付かなかった。けれど部活の仲間達と遊んだりしないの? 」
と謝りながらも友達との付き合いはないのかと思い尋ねると
「それよりも夏樹くんを優先するに決まってるじゃない! 」
と元気に僕に突っ込んできた。ほんといつも元気なアキさん。でも前なら鬱陶しいなあとか思ってしまいそうだけれど、なぜかアキさんだと嫌な気がしない。ほんとたった数日間で僕はアキさんに染まってきているんだなあとなんだかおかしくなってしまう。その笑い声が聞こえたのか
「なんで笑ってるのよ? 」
と更に突っ込んでくるアキさん。そんなアキさんに僕は
「いや元気だなあと思って。アキさんらしいなって」
誤魔化すようにそう伝えるのだった。
「で? 付き合ってくれるの? くれないの? いや付き合いなさい! 」
と段々尋ねてくるのではなく強制な言葉になってきていたアキさん。僕は別に用事もないので
「今起きたばかりだから準備ができれば出かけてもいいよ」
と僕はアキさんに了承の返事をした。すると
「え? やった? デートだよね、これ。嬉しいな。ならさ、夏樹くんの家まで行っていい? 」
とデートだとはしゃぐアキさん。まあ否定して気分を沈ませても仕方がないので否定はしなかった。そしてアキさんは家にまで来たいと告げてきた。別に問題はないんだけどわざわざ来てもなにもないんだけどなあと考えながら
「家に来てもなにもないけどいいの? 」
と僕が答えるとアキさんは少し照れたように
「だって夏樹くんの住んでるところ見てみたいと思うじゃない。それにもし夏樹くんの両親に会いでもしたら挨拶できるじゃない! 」
とアキさんは僕に告げてきた。というか僕の両親に挨拶って何を考えてるの? と可笑しくなりながら僕は
「なんで僕の両親に挨拶するんだよ。でも残念。多分両親は居ないから。まだ確認してないけどね。仲が良いから多分ふたりきりで出掛けてるはず」
そう、僕の両親は時間があればふたりでどこかに行っている。僕を放っておいて。だからそのことをアキさんに伝えると
「えーー残念。折角「夏樹くんの友人です。今はですけどね」って宣伝しておいたのになあ」
アキさんはどうも僕の両親に売り込みを考えていたようだ。でも今はってなんだよ。
「売り込みかけてどうするの? まずは僕と仲良くなるのが先でしょ? 」
「だって先に夏樹くんの周りから取り込んでおくと有利になると思わない? 」
「はぁよく考えるなあ、そんなこと。まあいいや。家はわかるの? 」
そんな話をしながらも僕はアキさんに家の場所が分かるか聞いてみた。
「ごめん。知らない。住所教えて! 」
アキさんは僕の家も知らず来たいと言っていたのか。まあ、教えてなかったからなあ。あっ真也に聞けば分かるのか。でも聞いてはいないみたいようだね。だから僕はアキさんに住所を教えると
「わかった。すぐ行くから。夏樹くんも準備しておいてね」
と言った後、僕が発言する前に通話を切ってしまうアキさん。そんなアキさんに僕はまた笑ってしまう。
そして思う。アキさんにほんと笑わせてもらってるなあと。まだ会ってから数日なのにね。僕は笑いながらもすぐに来るなら急いで着替えないといけないなと僕のおしゃれでもない数少ない服を漁って何を着ようかと悩むのだった。
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