第71話 また伝えるから
僕が見つめている中、只野さんは更に話を続けた。
「この辺から話がまとまりのない話になると思うの。分かりづらかったらごめんね。えーーとね。はっきり言うと今近藤くんから告白の返事をもらっても結果はわかっているの。……断られるって」
只野さんは僕が断ると考えていたようだ。わかっているとまで言われて僕はそんなにわかりやすいのだろうかと思ってしまう。まあ、そんな事を考えている僕を横目に更に只野さんは話を続けた。
「けどね。断られるから返事が怖いじゃなく……うーーん。少しは怖いか。ふふふっ。やっぱりこんがらかってきてるね、私。えーとね、私って近藤くんが春を好きでも好きになってしまったんだけど。以前にね、いろいろと考えて一度だけ諦めようと思ったことがあるの。でもね……諦められなかった。うん、多分今もね、断られても気持ちは変わらないと思うの。だからまたチャンスが来れば告白することになるんじゃないかなあ……なんて思ったりして。それなら振られた後、また二度目の告白をすればいいじゃないと思うかもしれないけれど、今回の告白ってこれは私の勝手な考えなんだけれど、付き合うこともできない……まあこれは私の性格、態度のせいだけれどそんな状態で告白はおかしかったって思ってて。だから今回の告白は気持ちを伝えるためだけの告白だって……ほんとに勝手だよね。近藤くんに告白して困らせているのにこんな風に思うなんて。そんな身勝手な考えなんだけれど……返事は私にまだチャンスがあって再度告白したときに貰えたらなって。今度はちゃんと私自身近藤くんと付き合うに値する人になったら伝えるから。まあ、チャンスがあるかどうかわからないけれどね」
そう話し終えた後、只野さんはふぅと一息ため息を付いて僕を見る。そして
「小さいことは多分まだまだあると思う。けれど大きい理由としてはこのふたつ……だと思う。だと思うって変なんだけれど。結構複雑なんだ。今の私の気持ち。ここ数日ゆっくり考えたから少しはまとまった形になったけれど。最初は私の過ちの後にすぐ千葉さんが現れて焦ったし……。今はしっかり受け入れられてたけれどね。それと今話したのはあくまで私の勝手な理由でお願いだから……近藤くんが返事をしたいというのならきちんと聞くよ。だって私が告白したのだから私のわがままを通すかどうかは近藤くんが決めることだから」
只野さんはそう言って僕をじっと見てきた。うん、どうも緊張しているようだ。それを見ていると只野さんの返事をもらうのが怖いという気持ちが伝わってくるようだった。やっぱり怖くないなんて普通思えないよね。僕も怖かった。今井さんに告白するときは。それも2度告白しているんだよね。だからよく分かる。
僕は考える。
どうするべきか。
只野さんの気持ちを切り捨ててきちんとけじめをつけるのか?
それとも只野さんの気持ちを考えて返事をせず気持ちを受け取るだけにして考えないようにしてしまうのか?
僕は悩む。
そして只野さんはそんな僕をじっと緊張したまま見つめ続けていたのだった。
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