第68話 思い違いの馬鹿な僕



 今日は土曜日。

 僕は今ある公園へと向かっている。昨日の夜、只野さんと約束した待ち合わせ場所。時間は約束の時間より1時間以上も早い時間。

 なぜそんなに早く出たのか? それは……別に家でも良かったのだけれど、只野さんと会う前に少し考え事をしたかったから。


 昨日はあれから四季さんと別れ、家へとそのまま帰っていった。まあ帰り際に校庭でアキには会ったわけだけれど。いつもどおりの声掛けで。会話中、アキは僕に気にしていないと思わせたいのか只野さんとのことを一切言わなかったけれど少し不安そうな顔をしていたような気がした。けれど僕も只野さんとは今日は話したいことがあったので申し訳ないと思いながらも気付かないふりをしていた僕だった。


 なぜ今日只野さんと会う前に考え事をしたかったのか? それは……僕が馬鹿だったと気づいたから。


 四季さんにも言った「きちんと見て返事する」それだけれど……告白された当初であればこの考えは問題ないと思う。だって今井さんに振られて僕の気持ちはどこにも向かっていなかったから。

 けれど昨日、四季さんと話してわかった。僕の気持ちは少しずつだけれどアキに向かっているんだって。そんな状態で只野さんを見て返事をするって何なんだってこと。見ようと見まいと返事は一緒なはずだから。縁が切れるとかそういうことを考えてしまって僕はなんて思い違いをしていたんだって四季さんとの会話の後気づいたんだ。


 だったらどうする? 見る見ないに関わらず今の気持ちで素直に返事をすることが重要じゃないかって。ほんと遅いし思い違いをしているし……僕ってダメダメだよなあ。


 だから僕は今日只野さんと話をしたかった。


 ただね。最初に言われたんだ。只野さんに。


「返事はいらない」


って。だから伝えて良いものかと悩んでいるわけで。


 僕の気持ちばかり押し付けても駄目だからどうするのが良いか……昨日からずっと悩んでいた。おかげでほとんど眠ることができなかった。


 デートで緊張して眠れなかったとかなら良いのにね。


 公園に着くと僕は只野さんが来ていないかを確認し……いや来ているわけないか。とりあえずベンチへと座り公園に来るまで考えていたことをまた再度考え続けるのだった。


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