第50話 説明は屋上で
今回、アキだけでなく大和さんまで僕たちのクラスに来ることになったため、クラスの男子が「なぜ大和さんが近藤のところに来るんだよ? 」やら「なんで隣のクラスから引っ張ってきてるんだよ。千葉さんに大和さんとかいいとこ取りも良いところだろ? 」やら僕に多くは嫉妬の言葉だったが、説明を求めて詰め寄ってくるようになっていた。いや……アキはあれだけど大和さんはねえ。なのでアキについては何も言わなかったけれど大和さんについては、アキの友人でアキがひとりでうちのクラスに来てるからと心配して一緒に来るようになっただけだよと多くの男子に同じことを説明することになってしまった。結構大変で特に大和さんの影響がなんだか凄いよ。それとアキについて今まで問い詰められることはなかったけれど今回の件でアキも人気があるんだって実感した僕だった。
そうそう、短い休憩時間にやって来るのは通常アキだけだった。流石に毎回大和さんもこちらのクラスに来るのは難しいらしい。そりゃ普通自分のクラスにも友人はいるだろうし用事があったりもするわけで。でも全く来ないわけでもなくたまに一緒に来るという感じになるそうだ。そんな大和さんに「たまにでも来なくていいのに」と結構冷たい言い草をしているアキ。僕はアキに「アキは毎時間来て大丈夫なのか? 」と聞いてみれば「忙しいときでもちょっと顔を出すだけでも私はするから」と胸を張ってそんな嬉しいことを言ってくれるのだった。
また、休憩時間の度に朝の件について説明が欲しそうにしていた真也には昼休みに説明すると伝えてなんとか落ち着いてもらうことができた。アキや大和さんが居て話自体聞かれても問題ないので昼食時にでも話そうと考えている。だからアキにも昼食時に真也に説明する旨を伝えておいた。
そして、アキに大和さんと隣のクラスから来た人気のあるふたりのせい……で、クラスメイトからの視線がきつく大事な話をするには教室ではやりにくいので今日は屋上で食べようとみんなには伝えておいたのだった。
「私、屋上で昼食を取るのは初めてね」
大和さんは屋上では食事をしたことがないようだった。そんな大和さんに
「私は数日前に夏樹くんと食べたもんね」
となぜか胸を張ってドヤ顔で言うアキ。そんなアキを見て大和さんは
「ここまでのめり込んでるアキを見るのは初めてだわ。というよりもそんなことでドヤ顔をされるとは思わなかったわ」
と呆れ顔でそう呟いていた。そんなふたりとは別に僕と真也は別の会話をしていた。
「夏樹。ふたりが居てもいいのか? 」
と真也は心配そうに僕に尋ねてきた。僕としてはアキはほとんど知っているし、大和さんもある程度知っているようだったからなあ。もう今更だという感じで
「ふたりとも内容に関してある程度知ってるしね。特にアキに関しては話してないことは殆どない。だから気にしなくていいよ。それにふたりにも聞いておいてもらいたいんだよね。これから一緒に過ごすわけだから」
と僕はお気楽な感じで真也にそう説明していると
「ほらほら、夏樹くん。そして島田くん早く食べようよ」
「そうね。ふたりとも食べましょう? 」
と彼女たちに呼ばれたので僕たちは顔を見合わせて
「さあ……いきますかね」
「そうだな」
僕たちはそう呟いてふたりの元へと向かい食事の準備をみんなでしたのだった。
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