第60話 ずっと友達だよな?
それからは僕と真也は他愛ない話で語り合った。こうやって話していると真也とこういう会話は久しぶりだなと感じてしまった。僕が告白してからいつものメンバーで集まることもなかったし、ふたりで会話しても事情説明とかだったからなあ。
そしてそんな久しぶりの時間も真也が帰宅時間となったため、僕は真也を玄関まで見送りに一緒に向かった。
玄関で靴を履きながら真也は僕に言う。
「なんだか久しぶりだったな。ふたりでくだらない会話」
僕が思ったことを真也も感じていたようだ。
「そうだね。僕も会話しながらそんな事考えていたよ」
僕も同意の言葉を告げる。
「ここのところいろいろあったもんなあ……」
そう真也はしみじみと僕にそう告げてきた。ほんとこの短期間にいろいろとありすぎたよ。僕の告白から一気に僕たち4人の歪みといえば良いのか……問題が溢れ出したような気がした。
「仲が良い4人だと思っていたけどいろいろと心になにかわだかまりがあったんだなあって……男女間だとやっぱりこういうの多いのかなあ。はははっ今井さんに告白した僕が言える言葉じゃないけれどね」
そう言って苦笑しながら真也に告げる。
「まあ、俺は知っていたからなあ。夏樹が春のこと好きなこと」
真也は靴を履き終えたようだが、それでも座ったままそう僕に答えた。
「まあ僕のことはみんなにバレてたからね。今井さんには2度目だし、只野さんも知っていたし。でも、僕以外も誰かしらに好意を持っていて……でもすれ違っててさ。ほんと上手く行かないもんだね」
僕は依然苦笑しながらそう真也に告げる。
「ははっ俺もまさか春が俺のことを……知らなかったからなあ」
真也はそう言った後、顔を上げて僕を見る。そして
「なあ、夏樹」
真也は僕に問いかけてきた。
「どうした? 」
僕が不思議そうにそう真也に尋ねると
「俺と夏樹……ずっと友達だよな? 」
そう僕に尋ねてきた。何を今更な言葉に僕には聞こえてしまうが、真也は真剣に僕に問いかけてきていた。これってなにかが僕に関係ある? わからない。なんで?
「ああ、当たり前。僕と真也はずっと友達だよ。どうしたんだよ? ああ、わかんね。なんで僕ってここまで周りがわからないんだろうなあ」
僕が困惑した顔で真也にそう答えると
「はははっいいんだよ。夏樹はそれで。それが夏樹だから。まあ俺もじっくり考えるからさ」
真也は笑和浮かべながらそう僕に伝えてきた。
それが夏樹って……はははっやっぱり僕ってそんな感じなんだなあとなぜかおかしくなってしまう。そんな僕を見て真也は笑いながら僕に告げる。
「うし、そろそろ帰るよ。今日はありがとな。すこしすっきりした。話せたからかな? 」
確かに僕の目にも真也の言葉の通りに柔らかな表情へと変わっているように見えた。
「それなら良かったよ。まあ、ただ僕は聞いただけだし……それに僕も久しぶりに真也とくだらない話ができてよかったし」
と僕が言うと
「は? 俺の悩みがくだらないって? 」
真也は笑いながらそう僕に突っ込んでくる。わかっているくせに……
「馬鹿。悩みの後の話だよ」
僕はそう真也に言い返したのだった。
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