劉良、天下を歩む〜劉備もう二度とお前に人生を奪わせない!!〜

雪見桜

プロローグ

「…義良」


「袁煕様…何故…?」


目の前で哀れな目でこちらを見ている

袁煕様に問いかける。


昨日、執務をしていた場所に

突然兵が押し入り私を捕まえて

牢に入れられ翌朝処刑場に連れられて来た。


「…伝えよ」


袁煕様がそう言うと隣に立っていた

文官が何かを読み始める。


「はっ!!…義良文台ぎりょうぶんだい

 その方劉備と共謀し袁家に害をなした。

 これは、とても許される事ではない

 よって毒杯を賜る事とする」


「なっ!?全くの冤罪!!

 私が劉備と共謀するなど!!」


そんなことがあり得るわけがない

私が劉備のせいでどれほどの苦難な道を歩んできた事か!!

義良は、必死に否定する。


「やましいことがないのであれば

 なぜ名前を変えているのです?

 義良いや…殿?」


「!?、…何故?」


隠していたはずの名前を呼ばれ動揺し言葉を詰まらせる。


「派手に動いた様ですね

 田豊様を助ける為に」


「あっあれが…」


「…不運だったなその時に

 劉備がお前を見つけ

 父上に話していたらしい。

 …従兄弟だそうだな」


数ヶ月前、私と妻の恩人である田豊様が

袁紹様の怒りを買い投獄された。


そこで私は、田豊様を助ける為に、

方々の有力者に頭を下げて投獄を考え直す様にお願いして回った。


それがまさか気付かれた原因で

しかも指摘したのが劉備のクソ野郎だとは…


「劉備としては、袁家の中で

 味方を見つけたかったのかもしれんが」


「…前から他人の立場を考えず

 特に一族は、自分の踏み台としか考えて

 いない男でしたから」


そう言って劉良は、軽蔑した笑いをする。


「それは、認めたと言う事でよろしいですな?」


「確かに私は、劉備の一族

 …従兄弟の関係にあります。

 だが決して共謀などしておりません!!」


「名を変えていた人間を信じられませんな」


「義良よ…何故名を隠していた

 せめて私にぐらい話してくれても

 よかっただろう?」


袁煕様が悲しそうにこちらを見る。

「それは…」


「私は、悲しかったぞ

 そこまで信頼されてなかったとは」


「…申し訳ございません」


私は、頭を下げ謝るしかなかった。


袁煕は、ため息をついた後

文官を呼び寄せる。


「いや…ハァ良い許す

 …おいそれを寄越せ」


「えっはい…なっなにを!?」


袁煕様は、袁紹様からの命令書を武官から

受け取りそのまま火の中に投げ入れた。


「確かに私は、頼りない…

 …だがな!!自分の忠臣を見捨てるほど

 卑怯者ではないのだよ」


「なっ!?袁紹様の命令に反すると!?」


文官が声を荒げて袁煕様を責める。


「ああ帰ったら父上に伝えてくれ

 自分の敗戦の尻拭いに

 俺の大事な忠臣を使うなと」


そう言い放ち袁煕様は、こちらに歩いてくる。


「袁煕様とて、ただではすみませんよ!!」


「ハハ、…是非もなしその時は、

 この袁煕幽州で鍛えた

 武、馳走してくれるわ!!」


そう言い放ち袁煕は、劉良を庇う様に立ち塞がる。


「昔…私が幽州刺史に任じられる時

 誰も私についてこようとしなかった

 …妻でさえな」


「…袁煕様?」


背中を向けながら袁煕様は、

小声で話す。


「だがそんな中お前だけが

 自分から志願して私を支えてくれた

 あれがどれほど嬉しかったか…

 義良よあの時の恩いま返そう。」

 

その言葉うけた劉良は、涙が溢れて

袁煕様の顔が滲んで見えない。


あぁ何が柔弱で物にならない人物だ


これほど器が広く覇気がある方がいるだろうか……だからこそ俺は…


劉良は、袁煕の背中を見て自らの涙を拭いて決意する。


「…袁煕様」


「ん?何だッ!?」


私の声に振り返った袁煕様に頭突きを喰らわせる。


「…何馬鹿な事を言ってるんですか?」


「ッ…何をする!!」


袁煕様は、突然のことに驚きを隠せない。


「立場をわきまえてください

 今の貴方様は、幽州刺史なのですよ

 そんな貴方がこんな小事の為に

 幽州に災いを招こうとするとは」


「小事だと!?お前の事だろう!!」


「はいそうです私の事…私の命の事です。

 袁煕様?私の命と幽州どちらを取りますか?」


「そんなの!!……幽州…だ」


袁煕様は、そこで自分が伝えたいことが分かったのだろう苦虫を噛んだように顔を歪める。


「はいその通りです

 そうでなければ次は、拳でした。」


劉良は、ニコリと笑いそう言って

握り拳を作る。


「…卑怯だぞ」


「ふッ…もともと親から

 受け継いだ姓を変え人生を

 やり直そうとした卑怯者です」

 

袁煕様は、まだ何か言いたそうだったが

俺は、それを無視して文官の方を向く。


「なっ何だ」


「私は…命令通り毒杯を賜りますので

 今さっきの袁煕様の醜態なかった事に

 して頂けませんでしょうか?」


劉良は、そう言って頭を下げる。

「それは…」


「…敗戦で揺れている袁家を

 これ以上混乱させる訳には

 いけないでしょ?

 …それとも貴方は、望んでいるとでも?」


そう問いかけると文官は、

少し悩んだ後。

「…わかった今回の事は、胸の中にしまう」

と言った。


文官に頭を深々と下げ劉良は、周りの

兵士達にも命令する。


「よし、周りにいる者らもいいな!!

 ここでは、何も見なかった!!」


「「「はっ!!」」」


周りにいる兵士達が返事をする。

まぁここにいる兵士達は、

ほぼ幽州の兵士達だ彼らからすると願ったり叶ったりだろう。


「…義良…やはり」


袁煕様が情けない顔をこちらを見る。


「ハァ…袁煕様!!しっかりして下さい」


「…だがな」


そうこうしていると

兵士の一人が毒杯を持ってくる。


「…どうぞ」


「あぁ…「待て」」


俺が受け取ろうとすると袁煕様が止めてくる。


「本当にいいのか?」


「はい劉備のせいなのは、癪に触りますが

 仕方ありません」


「俺が…渡す」


そう言って毒杯を手にして渡してくる。


ふふ…自ら罪を背負おうとしてるのか


「袁煕様から直々に頂けるとは

 恐悦至極」


「ふん…俺が劉備の首をいつか取って

 やる」


「はは!!それは、いい」


泣きそうになりながら手渡してくる袁煕様から毒杯を受け取る。


ふむ…毒杯というから禍々しい感じかと

思ったが普通の薬湯みたいな感じだな…あっ


「袁煕様」


「何だ?」


「今回の罪は、私だけですよね…妻は」


「大丈夫だ…私が責任を持つ安心しろ」


「そうですか…それなら安心だ」


「何か伝えることはあるか?」


「すまないと」


「…わかった」


あぁこれでいい


「…それでは」


劉良は、その後毒杯を一気に飲み干す

喉が焼けるのを感じながら

意識が朦朧として

ゆっくりと後ろに倒れ込む。


「ッ!!…義良ーー!!」





あぁ…願わくば劉備に災いあれ


『旦那様』


…あぁ…そして妻に幸せあれ









初めての歴史物に挑戦します。

知識の面で浅い所があると思いますが

頑張りたいと思いますので

宜しければフォローなどして頂けると嬉しいです。


追伸、投稿頻度はゆっくりになると思います。


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