第5話 信頼の出来る文官
うちが運営している斡旋所…
その始まりは、母上が流民を効率的に
荘園の仕事につける為に考えたものだ。
流民と一言で言っても
男と女、力が強いものや文字が
読めるものなど様々
その為最初に仕事の内容をまとめて
一ヶ所で固めて
その中から自分の得意なものを
選ばせる事にしたらしい。
そしてこの考えが的中し
受け入れた流民達が各々成果を上げ
その噂が広まり私も
と流民達が集まりだし周りの豪族も巻き込み
その結果今の斡旋所ができる事になった…
「やっぱり…駄目かな秋季?」
「無理ですね」
盲目の少女は、首を横に振る。
劉良達は、屋敷から場所を変え斡旋所に来ていた。
「能力的には出来そうな
人間は数人思い当たりますが
各々何処か薄暗い所が
一つや二つありまして
やはり国に使える文官にともなると
信頼が置けませんので
こちらから紹介する事はできかねます」
「そうか…責任がとれないもんね
張純様と…言う事です」
劉良は、申し訳なさそうに張純に謝る。
「えっあぁそれは…わかったが…」
「えっああ…すいません
挨拶がまだでしたね秋季」
「はい、改めましてお初にお目にかかります
この斡旋所の運営を任せられている
秋季と申します」
「だが…お前は…」
劉良も驚いたが
初めてこの斡旋所に来た時に会った
盲目の女性がこの斡旋所の長なのだ?
「能力は、私が保証しますので大丈夫です」
最初は信じられなかったが
目が見えないのを加味しても
その頭の回転の速さや記憶力、聴力など
様々な能力を見せられて、
今は、ちょくちょく相談相手になってもらっている。
「いや」
「…おい、劉良がいいと言ってるんだ」
「そうだなすまん」
張純が続けて言葉を続けようとするのを
隣にいた張挙が止める。
「しかし困ったな…まさかここでも無理とは」
「あの聞きたかったんですが
何で文官を探しているんですか?
それに張純様は、中山大守なのですから
広く募集をかければ集まるのでは?」
「うむ確かにそうだが
…色々あってな今は…」
「張純は、信頼できる文官が欲しいのだ」
張純が話しづらそうにしているのに痺れを切らし張挙が話し始める。
「信頼?」
「ああ、元々張純は武官だからな
正直統治に明るいわけではない」
「おい張挙!!それじゃ俺が大守失格みたいじゃないか」
「まぁその分、張純は、
治安維持や異民族対策が得意なんだから」
張挙は、張純を宥めつつ話を続ける。
「それでな、張純の補佐に
私の部下をつけていたのだが
今回、泰山に連れていく事になって、
もちろんその後任も決めていたのだが…」
「あのクズ共は故郷を見捨てたのだ!!」
拳を強く握り締め張純が叫んだ。
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