第18話 賊退治
新緑の森の中を、突き出してる枝などお構いなしに数人の男達が走る。
「ハッ…ハッ…くそッ…」
「かしら!!」
「馬鹿!!大声だすな死にたいのか!!」
「頭こそ大声出してるじゃないですか?」
「あぁ?…チッそれでどうした?」
部下の態度に怒鳴りつけようとしたが
必死に押さえ込む。
「俺たちどこに向かってんですか?
仲間とも、はぐれてしまったし」
「俺だって知るか!!
いいから黙って走れ!!」
部下を叱りつけ走るのに集中させる。
くそッ、こんなはずじゃ…
県令が新しく変わるタイミングで
最近勢いのある商人を襲うと言う事で
300人近い盗賊達が集まったと言うのに…
結果は、突然の奇襲により壊滅
今は、散り散りに逃げている。
「かっ……頭ぁ……」
「だからうるせぇ……へっ…?」
部下を叱りつつ開けた場所にでたと思ったら
目の前に広がるのは、こちらに矢を向ける
兵達の姿だった。
「なっ何で…」
目の前の信じられない光景に足を止めてしまう。
「何故って?」
こちらが口に出した言葉が聞こえたのだろう
目の前の部隊から声が聞こえる。
「それはな…お前たちは最初から
若君の手のひらの上だったんだよ
…放て」
その合図で矢が放たれ盗賊達に降り注ぐ。
「まっまて…あっ…」
男が矢の雨によって死ぬ寸前目にしたのは、
高く掲げられた劉の旗だった。
「報告!!趙将軍が逃亡する賊を追撃し
降伏させおよそ百人の捕虜を捕らえました」
「そうかなら追撃は、やめてこちらに合流するように伝えろ」
「は!!」
「報告!!冬将軍が賊の頭を討ち取ったよし
次の指図を待っております。」
「よくやった!!
なら…「報告!!」」
「何だ!?」
「張将軍が賊が拠点としていた
村を発見しましたが
一部の賊が立てこもり
現在取り囲んでおりますがどうするべきか指図を待っております」
「そうか…冬項に連絡、急ぎ合流して
包囲に加わり圧力をかけよと」
「ハッ!!」
伝令が陣を離れた事を確認してから
劉良は、息を吐く。
「…大丈夫か?」
「すいません少し気を抜いてしまいました」
「初陣なのだ仕方ない、
それに少し気を張り詰めすぎだ
大将がそれだと部隊が萎縮する」
「すいません」
自分は、部隊に従軍し策を奉じたり
実際に部隊を動かしたりと
前世で十分に経験していたが
まさか全体を指揮する大将とは、これほどまで重圧がかかるとは思わなかった。
一つの決断で味方が簡単に死ぬ
それなのに戦況は、目まぐるしく変わり
情報も錯綜する。
常に頭を使わなければいけないし
その都度、決断を迫られる。
何と言う重圧、
これをいつも背負っていたと言うのですか
…袁煕様。
「…劉良、指揮を変わろう」
「いえ叔父上、
この戦いは私が始めたのです
最後まで指揮を取ります」
「そうか…なら頑張れ」
「はい、皆!!
これより村に籠る賊を打ちに行く!!」
「ハッ!!」
劉良は、気合を入れ直し声を張り上げ
馬を走らせるこの戦いを終わらせる為に。
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