第17話 出世コース


「中山大守張純、そして劉良

 刺史様に拝謁いたします」


張純と劉良は、幽州刺史である劉虞に頭を下げる。


「うむよく来た、さぁ二人とも座るがいい」

「「はっ失礼します」」


二人は用意された席に座りそこに、

お茶が用意される。


「ふむ子供とは、

 やはり成長するのが早いな

 一年前は、これぐらいだったと思うが」


「はっは、刺史それは盛りすぎでしょう

 これぐらいでしょ」


「…お二人共

 それでは五歳の童ではないですか」


「それはそうか、ははは!!」


劉良の言葉を聞いて二人とも爆笑する。


「それにしても此度はどうした

 突然の訪問で驚いたぞ」


「はっそれにつきましては、

 まずは謝罪を」


張純が先ほどとは打って変わって姿勢をただし頭を下げる。


「謝罪?」

「はっ先日、辟召をお願いしたにも関わらず

 あんな不義理を」

「ん?…あぁあの件か気にしなくていい」


劉虞は、一口お茶を飲む。


「ふぅ…ちょうど中央の友人から

 人を紹介して欲しいと言われてね

 せっかくだから紹介したのだよ

 …でね」


この言葉を聞いていた者達は一応に、

『『『絶対に善意ではないだろう』』』

と思ったが口には出さなかった。


「それでこれが何か関係するのか?」


「はっ…お恥ずかしながら

 その後の後任が見つからず困り果て、

 劉良に相談した所、一つ意見をもらい

 それが刺史様も関係する事ですので

 ご相談をする為に今回まかり越しました」


「ふむ…面白い!!わかった聞こう

 劉良よ、その方の考え…

 策を聞かせてくれ」

 

「はっ」

劉良は、姿勢を正し頭の中にある策を伝える。


「…ふむ、冀州の者を幽州にそして中央にか…」


劉良が考え出したのは、

簡単に言えば新たな出世コースを作り出し

その流れで人材確保をする策で


具体的には、

冀州に燻っている人材を

幽州の役職につけ実務の経験を積ませ

その中で実力がある者を

中央や他の州に送り出すと言う物だった。


「ふむ確かにいい考えだ」


冀州にとっては、

実力があれどこねや資金がなくと

なかなか役を貰えず燻っている

者達の受け皿になり。


幽州にとっては、

万年人手不足の文官を確保でき

この、出世コースの流れに便乗し

自分達も恩恵を受ける。


中央や他の州にとっても

家だけのボンクラではない

実力者を手に入れられる。

つまり三方よしの考えである。


「だが問題もあるようだが?」


劉虞が試すようにこちらを見る。


確かに今のは良いところだけ示したもので

幽州に呼ぶ人材の選定

文官と武官の格差

役職の調整などなど

他にも思いつく問題が沢山あるだが…


「それも加味しても

 導入すべきだと思います

 これは、冀州や幽州だけではなく

 河北…いえこの国をより良くする為に

 必要だと考えているからです」


劉良は、自信満々に言い切る。


正直劉良としては、そこまで遂行な思いはなくただ単純に幽州に有能な人材が来るればいいなぁ〜と言う思いと

数年後に起きるを少しでも弱体化させたいと言う考えだった。


劉虞は、その思いを知ってか知らずか。


「わかった、劉良が示した策を行おう」


「「ありがとうござ「ただし!!」」」


「劉良…お前がいくつかの条件を飲めばな?」


そう言って劉虞は、ニヤリと笑った。


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