第19話 新たな軍閥
「若君、負傷者の収容完了しました」
「うんお疲れ様冬項、今日は下がって
ゆっくり体を休めて」
「はっ」
「趙雲、
ご苦労様部屋にお酒を用意してるからね」
「若!!本当ですか!!」
「…おい」
趙雲が張繡の脇腹を突く。
「あっすいません若」
「ハハ謝らなくていいよ、
後で酒のつまみも出すように伝えとくから
趙雲も体を休めて」
「はっお気遣いありがとうございます
それでは失礼します。」
「酒〜酒〜」
「おいはしゃぐな!!」
そう言って三人が離れていった。
「ふっ…いい若者達だ」
「ええそうですね、それじゃ叔父上行きましょうか?」
「うむ」
二人は、冬項達を見送った後
住んでる屋敷に向かう。
「しかし劉良、最後までいる
必要はなかったのだぞ、
姉上も心配しているだろうし」
「いえ、初陣でしたので
最後まで見届けたいと思いまして、
それに屋敷には伝令も送ってますし」
「…そうか」
「しかし、叔父上が来てくださって
助かりました正直、不安でしたので」
「当然だ…可愛い甥の為だ」
そう言って、叔父である
そう陥陣営と呼ばれ呂布軍の都督となり
曹操軍や劉備軍をさんざん苦しめた将軍、
高順は、まさかの自分の叔父上だったのだ。
「それに…自分自身、兗州を出たいと思っていたからちょうどよかったのだ」
叔父上は、兗州の大豪族の末子として産まれたが両親や長男と折り合いが悪く、
兗州から出て何処か辺境で武功を立てたいと考えていたようだ。
そこに、母上の書状が届きこの幽州に来てくれたのだった。
「しかし、刺史も無茶な要求をするものだ
いた豪族に軍閥を作れなどと」
「…はは」
張純様と一緒に刺史に会ったあの日
出された要求の一つにうちの軍閥化があった。
「まぁ軍閥といっても
小規模で良いとは言われているので
必要なのは、第3勢力の存在なので」
どういうことかと言うと、
この幽州には、軍閥と言う軍閥はなく
前も言った通り、穏健派と強硬派に二分される。
そして、その二つの派閥のどちらかに
任命された刺史が付き
主派閥として幽州の政治を行っていた。
だがこれは、当然の結果
主派閥が変わればその都度政策が
ガラリと変わる
政治的に不安定状況起こしていた。
そこで刺史が考えたのが第三勢力を作り出し
中立派として、政治のバランスを取らせ
主派閥が変わる事でおきる混乱を抑えることだった。
「しかし…他の両派閥も黙ってはいないだろう?」
「いえ、そういうわけでもなく
小さい派閥なので
主派閥の座を狙われる心配もなく
派閥の中心になる予定のここ琢郡琢県は、
両派閥ともがっつりとした勢力圏内と
いうわけではなくあまり影響がなく」
「ふむ」
「それに政策が良いと心の中思っていても
別の派閥が作った物だと言う理由だけで
とりやめてしまったりしていたのを
中立派を理由にやめなくて済むと
両派閥共あまり拒否感はないようです。」
一連の説明を聞いた叔父上は、
眉間にしわを寄せながら
「ふむ…政治とはややこしい物だな
私は、戦場に立ってるのが性に合ってるようだ」
とつぶやいた。
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