第32話 公孫続

「…何でこんな事に」


劉良は、手に持つ槍を握り締めて

目の前の白馬に乗った武人を見て呟く。


「劉良準備はいいな!!」


「…はい」


「声が小さいッ!!」


「はいッ!!」


「宜しいそれでは、

 公孫瓚伯珪…推して参るッ!!」


そう言って槍を構え白馬を走らせ

こちらに迫ってくる。


「本当に…何でこうなった!?」

        

        ・

        ・

        ・

「若君」


「ん?来たか」


劉良が視線を向けると

遠くの方に土煙がたっている。


その土煙を出す集団が徐々に近づいてきて

姿が見え始める。


「白いな」

「そりゃ白馬将軍と白馬義従ですから」


護衛としてついている、

張繡と趙雲がコソコソと話している。


「しかも練度が高いな」


「えぇ私も名を聞いていただけなので

 ここまでのものとは、思ってませんでした。」


白馬義従、その名の通り白馬に乗り

義従…つまり馬に乗る弓兵を集めた

公孫瓚殿と共に戦場をかける精鋭部隊だ。


自分も実物を見たのは、数回だけだが

いつもながら見事な行軍だ。


「ふむ面白い部隊だ」

「揚州にはこういう

 特殊な部隊はいなかったのか?」


劉良が呉範にそう問いかける。


「いたがここまで派手ではなかったな〜」


そうこうしていると

白馬義従が目の前まで近づいて止まり

その中から公孫瓚と劉良と同じもしくは下ぐらいの男の子が前に出る。


「お待ちしておりました、

 県令様そして」


「初めまして公孫瓚の子、

 公孫続こうそんぞくと申します」


「こちらこそ、劉良と申します」


「すまぬな、ちょうど息子が訪ねてきてな

 せっかくの機会だと連れてきてしまった。」


「いえいえ、こちらとしては大歓迎です

 さっどうぞお茶をご用意してますので」


劉良は、チラッと冬項を見た後屋敷に招き入れる。


「所で今日は高春殿は、どうなさった?

 せっかくなら息子を紹介したいのだが?」


公孫瓚達を屋敷の中に招き入れお茶を振る舞っていると公孫瓚殿が聞いてくる。


「申し訳ございません、

 母も県令が来るのを

 楽しみにしていたのですけど

 昨夜から体調を崩しまして

 今は、休んでおります」


「何!?大丈夫なのか?」


「はい、医者から

 数日休む様にとは言われてますが

 命に関わるものではないそうです」


「そうか今、流行病が流行り

 始めている様だから心配したのだ

 では高春殿には、よろしく伝えてくれ」


「はい、母も喜びます」


「うむ…それで続、何か言いたいのだろう」


公孫瓚と劉良が会話している横で

何か言いたそうでプルプルしていた公孫続に

公孫瓚が話しかける。


「えっと」


「続!!男ならオドオドするな!!」


その言葉に公孫続がピシッと背を伸ばす。

「はいッ!!劉良殿!!」


「はっはい」


「私と…一手やりましょう!!」


「…はい?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る