第31話 二つの木簡
「それより、はい君にお届け物だよ」
「ん?何だ…?」
劉良は、呉範から二つの木簡を受け取る。
一つ目は…
「あら〜愛しの白ちゃんじゃない」
いつの間にか後ろに回り込んでいた
母上が嬉しそうに笑う。
「母上勝手に見ないで下さい」
そう言って隠すとあらあらと母上は、
楽しそうに離れる。
改めて木簡を見る、
木簡には、挨拶から始まり最近の出来事
そして、会いたいと言う思いが書かれていた。
「…白」
「…奥方様、白と言うのは?」
「良の婚約者候補よ、姓は牛で涼州のご令嬢よ」
「ほう!!それは……涼州?」
高春と話していた呉範は、何か違和感を感じた。
「ええ、遠いわよね
一時期、良の家庭教師だった者の紹介で
私自身手紙でやり取りしただけだけど
気に入ってるの」
「その家庭教師の名は?」
「賈詡と華雄よ」
「いえ何にも…
涼州…姓が牛…賈詡と華雄…そして白
…まさか…な」
呉範は、ぶつぶつと呟く。
「もしかして、知ってるの?」
「…いいえ、もしかしたらと思いましたが
どうやら人違いの様です」
そう言う話を二人がしていると
白からの手紙を読み終えた劉良が
顔を上げる。
「どうしました?」
「いいえ特にないわよ」
「ええ、ただ貴方の婚約者の事を話していただけで」
「やめてください」
「えぇそんな事言われても、
目の前で読みながらあんな顔してたらな〜」
「そうよね〜あんな小さかった良が
いつの間にか男の顔をするなんて
考え深いわ〜」
そう言って二人は、ニヤニヤと笑う。
…くそっ失敗した、
ついこの場で読んでしまった。
劉良は、白からの木簡を隠しもう一つの方を
読み始める。
「母上」
「何?」
「公孫瓚殿が数日後こちらに来る様です」
「あらそうなの?」
母上に木簡を渡す。
それを母上は、さらっと目を通す。
「春蘭」
「はっ」
「いつもの様に部屋の準備を、
それと牧場にも連絡を」
「はい」
母上が後ろに控えていた春蘭に
手慣れた様子で指示を出す。
「しかし、何のご用でここに来るのでしょう?」
「馬選びよ」
「馬選び?」
事情がわからない呉範に母上が説明する。
「えぇ公孫瓚殿は、
うちの馬販売のお得意様なの
まぁ白馬だけだけど」
「毎回、高値で買ってくれるので
助かってます、白馬だけですが」
「はぁ…さすがは、白馬将軍という事ですか」
「あっそうだわ、良
牧場の責任者から駿馬達が育ったから
きて欲しいって報告が来てたわ
ちょうど良いから貴方も自分用の馬を
見繕いなさいな」
「わかりました…あっ呉範も専用の馬を用意しよう」
今まで屋敷にいる馬を貸していたが
呉範も自分の馬を持っていた方がいいだろう。
「いいのか?」
「ああ、忙しい時期に手伝ってくれたお礼だよ」
「ふっ私は、君の部下なのだから
そんな気にしなくていいのだが
今回は、ありがたく頂こう。」
そう言う事で劉良達は、
数日後に牧場に行く事になった。
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