第十九話 刺史襲来
劉虞、その名をこの幽州で知らない者は居ないだろう。
正統な皇族であり幽州刺史になって数年もしない内に武力を使わずその徳によって、
異民族を抑え幽州に平和をもたらした
英雄である。
「劉虞刺史に高春が拝謁いたします。
よくぞ我が屋敷にお立ち寄り
いいただきました事を感謝申し上げます」
母上が頭を下げたのに合わせて
劉良達も頭を下げる。
あの後、急いで屋敷の門に向かい
劉虞刺史を出迎えた。
「いやいやこちらこそ
突然、使者も出さずにすまぬな
琢郡の視察の途中、近くに寄ったのでな
休憩がてら賈詡殿達が厄介になってる所に
来てみたのだ」
「そうですか、
現在主人は役所に出仕してる為
不在ではありますが
お茶をご準備させておりますので
どうぞ中へ」
「ふむそれでは、休憩させていただこう」
刺史は、母上の案内で家の中に入る。
「…なぁ帰っていいか?」
「ダメに決まってるでしょ
華雄先生、貴方達目的で来てるんだから」
華雄先生が面倒臭そうにしてるのを
劉良は、嗜める。
「だがよ、会ったらずっと勧誘してくるんだぜ」
「それだけ先生達が優秀と言うことです」
「何をしてるんだ早く後を追わないと」
「あっすいません今、行きます。」
賈詡先生の言葉で会話をやめて、
母上の後をついていき部屋に入る。
「ほう…素晴らしい香りだ」
「お褒めいただきありがとうございます
さぁどうぞお口にあえばよろしいのですが」
劉虞がお茶に口をつけようとしてるのを
隣にいた劉虞の使用人が止める。
「…毒味を」
「いらんこの者達がわしを
害するわけないだろう」
劉虞は、そう言ってお茶に口をつける。
「…人たらしだな」
「くく…私ならやれますよ」
「何をだよ」
「…師匠達あんまり物騒な話しないで下さい」
「俺はしてねぇよ」
「良」
そうコソコソと三人で話していると
母上に呼ばれる。
「刺史様にご挨拶を」
「はい、劉良、字名は文台
劉幽州刺史様に拝謁いたします。」
劉良は、劉虞の前に行き挨拶を言う。
「…ほう、そなたが劉良か」
「私をご存知で?」
「いや何、二人が家庭教師をしていると
聞いていたし
…ある者からも会ってみろと
言われていた」
先生達が教えている子供と言うことで
知っていたのはまぁ…わかるが
劉虞刺史に会えと言った人がいた?
…誰だ?思いつく人間がいない。
「ふふ、そう警戒しなくても良い
褒めていたぞお前の事を
…さぁ隣に座りお茶を飲もうではないか
こんな機会は、なかなかないぞ!!」
そう言って劉虞は、
隣に座るように促す。
その目は、何かを試そうとする目だった。
「はっ、光栄な事でございます
それでは!!」
劉良は、その目に気づきながらも
躊躇いもなく劉虞の隣に座る。
「ほう…少しは、臆するかと思ったが」
「臆して機を逃すよりかは…よろしいかと」
そう言って劉虞を見る。
どうゆう態度を取るかで
私を見定めようとしたのだろうが
…ふっ舐めるなよ、
伊達に乱世を生きていたわけではない!!
…まぁ今は、子供何だが。
「………フッ」
「………フッハハハ」
少しの間睨み合ったのちに
二人は、笑い出す。
「奥方、息子に素晴らしい教育しているようだな」
「ありがとうございます」
母上が嬉しそうに頭を下げた後
師匠達も交えたお茶会が始まった。
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