第10話 ないならある所から 後編②
「それでこれから冀州は、
どうなると考えますか?」
劉良は、ため息をつく。
「一年は、大丈夫だろう
だがこれが二年三年と続けば
冀州が大きく揺れる」
まぁ続くだろうそして、
数年後に黄巾の旗が
国中を巻き込んで立ち上がる。
「そうですか、ならばその対策を立てなければいけませんね」
(まぁ対策と言っても
この先に起こる動乱を乗り越えるなら
一豪族だけでは不十分だろうな)
そう言って、部屋にいる四人は話し合う
その様子を見ながら劉良は、思う。
「若君?どうなさいました?」
話に入ってこない事に不思議に思った夏母が
劉良を見る。
「いや…これから大変だなと」
「そうですわね、
でもこれを好機とも考えられますよ」
「好機?」
夏母がゆっくりと頷く。
「はい、冀州が揺らぐと幽州にまで
影響がありますそれは分かりますね?」
「ああ、商人達は冀州を通って
幽州に来るから
物が買えなかったり高騰したり
はたまた賊が増えたり流民が流れてきたり
とか」
「そうですね、
それを違う見方をしてみて
見ればどうでしょう?」
違う見方か…
我が家の立場で考えてみよう
まず物が不足するのは悪い事だと思うが
今から貯蓄して時が来たら売りに出せば
莫大な富になるな。
それに賊が多くなれば
平時なら厳しい目が向けられる
私兵増強もしやすくなる。
なるほど考え方を変えると確かに好機に感じられる。
劉良は、頭の中で考えた事を伝える。
「はいその通り流石ですね
物事には裏表があります
それを見極められれば
悪い事もいい事に変えられるのです。
ですので大変ですけど
好機だと思って頑張りましょう」
「うんそうだね…夏母」
「あの」
「どうしたの秋季?」
「これって、人材登用にも利用できませんか?」
「人材登用に?」
秋季は、こくりと頷く。
どうやら人材を紹介できなかった事を
気にしているように感じた。
「はい、冀州の中にも我々の様に
危機感を持っている者達がいる事でしょう
その者達を勧誘すれば」
「なるほど冀州の現状を
正しく認識できる能力がある
人材が手に入るか」
秋季の提案に春蘭が待ったをかける。
「秋季、その考えには、
いくつかの問題点があるわ
一つ目に官職や故郷を離れてまでくるか?
二つ目に信頼できる人材か?
そして最後に…」
「最後に?」
「…辺境である幽州にくるか?」
ああ〜と皆が納得してしまう。
「冀州から離れるとしても
わざわざ幽州に来ないでしょう
行くなら洛陽やその周辺の州でしょう」
「確かにそうですね」
そう言って秋季がシュンとしてしまう。
それに対して春蘭は、慌て出す。
「えっあ、秋季?
意地悪でいったわけじゃないのよその…」
「大丈夫ですわかっていますから」
そっそう?と言いながら
こちらに春蘭が助けを求めてくる。
どうやら春蘭は、秋季に弱いらしい
ここで知らなかった人間関係をしれるとは、
劉良は、そう思いながら考える。
(でも秋季の提案は、問題はあるけど
いい提案だよな……あっ)
「どうしました?若君」
「一つ策を思いついた」
そう言って劉良は、ニヤリと笑った。
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