第二十三話 屯田制 ①
「劉良様、資料をお持ちしました
皆様にもお配りします。」
「ありがとう冬項」
冬項から木簡をもらう。
この冬項は、荘園に行った時出会った兵士で
帰ってから自分の護衛になった人物だ。
「さて劉良よ、聞かせてもらおうか?
幽州を発展させる策を」
「はい」
劉良は、一度深呼吸をして、
自分の考えを整える。
まさかこんな事になるなんて、
幽州刺史にして皇族である…劉虞
連合軍を相手取った猛将…華雄
数々の謀で曹操を追い詰めた謀略家…賈詡
そして母上。
前世では、あり得なかった事だが
何の因果かこんな機会を得られた。
これは、自分のにとって大きな一歩になるだろう。
「私が献策致しましたのは、
屯田制です」
「屯田制?」
屯田制…それは戦乱で荒廃した土地を収め、
流民を募って集団で入植させて
耕作にあたらせた上で
現物で租税を納めさせた政策で。
租税を少なくする代わりに
屯田兵として働かせる軍宅と
租税が厳しくはあるが農具や農耕用の牛を
借りられる民宅の二つがある。
そしてこの政策は、
曹操を天下の一雄に押し上げた政策であり
…自分が失敗した政策でもある。
「ふむ…これは、お主が一から作ったのか?」
「…いえ、この国で軍宅の方は、
小規模に行なわれていますし
何より…私は豪族の息子ですから」
劉良は、申し訳なさそうに呟く。
この屯田制の形を作ったのは、
曹操の元で活躍したの韓浩・棗祗両名である。
正直、この二人の功績を
奪ってしまう事になるのが
申し訳ないが
この政策が幽州の為になると思うので
使わせていただく。
「なるほどな…
良くできてる政策だ」
そう言う劉虞刺史の顔は、
言葉と裏腹に難しい顔をしており
他の三人もあまり良い顔をしていない。
…流石だな、みんなこの政策は、
上手くいかない事を見抜いているのだろう。
「皆さん幽州で取り入れるのは難しいと
お考えでしょうか?」
「…どうだ賈詡?」
「そうですね…確かに難しいと思います
良よ問題点は、理解しているのか?」
「はい、改善案も考えてます」
「ふむなら聞かせてもらえるか?」
「はいですが…その為には」
劉良は、高春を見る。
「母上の許可が必要です」
「私がですか?」
この屯田制、幽州に取り入れるには
問題が沢山あったその為、
一度、頭によぎったが
課題にするのを諦めていた。
しかし、母上が荘園に連れて行ってくれたのをきっかけに解決の糸口を掴んだ。
「はいその解決法は、
母上が荘園に連れて
行ってくれたおかげで作れました
つまりこの改善案を話すには、
荘園の情報を話さなければいけません」
荘園の情報の中には、劉虞刺史に知られたくないものもある可能性があるため確認を取る。
「なるほど…それは、問題ですわね」
母上が考え込む。
「奥方…最近私は、忘れっぽくてな〜」
劉虞が笑顔で高春に話しかける。
「嘘くさいですわね……まぁわかりました
良、話して良いわよ」
「ありがとうございます。
…では」
劉良は、母上に頭を下げた後
改善案を話し始めた。
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