劉良転生

第一話 目覚めたら過去に

「劉良…劉良!!どこにいるの?」


ん?母上の声だ?

本から目を外し部屋の外を見る。


「お母様こっちです」


母上を呼ぶと少しして部屋の扉が開く。


「あぁ劉良探したのよ

 …あら?本を読んでいたの?」


「はい母上、時間があったので」


劉良がそう言うと母上である高春こうしゅんが頭を優しく撫でる。


「そう偉いわね、あの碌でなしと大違い」


碌でなし…劉備の事か、

母上は、劉備を嫌っているからな

まぁ俺も嫌いだが。


…あの日、毒杯を飲み死んだはずだったのだが気づいたら、過去に戻っていた。


何故過去に戻ったのかわからないが

これが天の慈悲なのであれば

今回こそは、幸せを劉備に奪われない様に

頑張ることにした。


「それで?何を読んでいたの?」


「はい、菅子です」


「そう菅子ね…面白い?」


「はいとても、昔はあまり

 興味がなかったのですけど

 今見直してみるととても勉強になります」


昔…いや前世と言えばいいか

前世では、あまり勉強してなく。

袁煕様の元、幽州の政治を行っていた時

大変苦労した経験から、

今世は、勉強しようと目を通してみたが


菅子は、何故前世で真剣に勉強していなかったのかと後悔したほど

一つ一つの教えがとても素晴らしく勉強になっていた。


「ふふ、この子ったら

 昔っていつの事かしら?」


「えっ?あ!!いや…数日前です…はい」


劉良は、しどろもどろになりながら返事を返す。


危ない危ない気を引き締めないと

人生をやり直しているなど

やばい奴だと言っているようなものじゃないか。


当然高春は、劉良の態度がおかしいことに

気づきながらも深く聞かない様にする。


「ふふふ、まぁそう言う事にしておくわ

 さぁ準備しましょうそろそろ旦那様が

 帰ってくる時間だから」


「父上が?わかりました準備いたします」


劉良は、机に置いてある木簡を片付け

母上と共に父の帰りを待つ。


「今帰ったぞ!!」


「お帰りなさい貴方」

「お帰りなさい父上」


「おお高春、良、ただいま

 何も問題はなかったか?」


父である劉子敬りゅうしけい

役所の仕事から帰ってくる。


「はい…ただ貴方が仕事ばかりで

 なかなか帰ってこない事が問題かと」


「うっそれは…すまん

 仕事が大量にあってだな〜」


父上が必死に弁解をする。


思い出すな…前世俺も仕事に

かまけて妻に責められたな。


そんな事を思い出しながら両親の事を見ていたら母上がくすくすと笑いだす。


「ふふ…冗談です♪

 貴方が忙しいのは、わかってますから」


「…高春」


「さぁお茶を準備してますから

 旦那様は、お着替えてらして?」


「ああそうするよ」


父上は、そう言って俺の頭をポンポンした後服を着替えに向かった。

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