第52話 軍議開始!!
公孫瓚陣営前
「おお袁知殿ご機嫌麗しゅう」
「…あぁ」
手をこすりながら擦り寄ってくる
男に視線を向ける。
ふむ…誰だろうか記憶にない
まぁ我が幽州袁家に擦り寄る有象無象だろう。
袁知は、男のお世辞を聞きながら歩く。
「しかし、県令にも困ったものですね
こんなにも兵を集めて」
「ふっまったくだ、
たかが賊退治にこれだけの兵を
愚かとしか言いようがない」
「ごもっともさすが袁知殿!!」
ふん…我が幽州袁家は、
祖父代に袁家本家から枝分かれした
高貴な家柄であり
私自身、朝廷から大夫の爵位を与えられている(本家に全力で媚を売って手に入れた物)
そんな私があんな田舎者の側室の子に
頭を下げなければならないとは!!
「まったく…袁知殿が
県令様なら良かったのに、
…っと口が滑りました
それではお先に」
男はそう言って先に陣営に入って行った。
…ふん口の達者な奴め
しかしまぁ皆が望んでいるなら
まったく県令など面倒なだけだが
本家に掛け合って
仕方なく県令になってやるとしよう。
「おい、大夫袁知が来たと伝えろ」
袁知は、陣営の見張をしている兵士に伝える。
「ハッ、袁知様が参られました」
「馬鹿者!!大夫をつけんか!!」
「…申し訳ありません、大夫袁知様がいらっしゃいました」
「まったく躾がなっとらん」
袁知は、そう憤慨しながら陣営入って行く。
その背中に兵達が冷たい視線を向けている事に気づかずに。
公孫瓚陣営 軍議の間
「大夫袁知、県令に拝謁いたします」
「…うむ」
突然軍議の外から怒声が聞こえて来て
何事かと思ったが入って来た人物を見て
劉良は、納得した。
袁知、幽州袁家を自称する
悪い意味で名を知られている人物だ。
(前世で袁煕様が怒ってたぞ
勝手に幽州袁家を名乗りやがってと
それに大夫を強調してるけど恥ずかしくないのか?)
爵位には、特別な条件がある官爵と
一般市民もなれる民爵があり
当然官爵が上である。
その中で大夫と言うのは
民爵の中間らへんに位置する爵位で
爵位を持てない賎民などには、
平伏されるかもしれないが
正直それで威張られてもこちらとしても困ってしまう。
何故なら幽州には、
言わないだけで結構高位の民爵がゴロゴロいるのだ。
それは、何故かと言うと
異民族と隣接する幽州では
武功を立てやすく
そもそも辺境に移り住んだ爵位を持てる良民は、民爵を与えられる。
その上幽州は、洛陽のような魑魅魍魎が
住まう場所ではない為
民爵の剥奪などもそんなに起きず
国家の慶事で自動的に上がりもする。
そんな訳で大夫と言う爵位も
知らないだけで周りにいるのだ
だから幽州では爵位よりも
実権を持ってる官職や武功などが尊重される。
その為、袁知殿がやってる
官爵ならいざ知らず
民爵で威張り散らかす事は、
自分は無能だけど偉いだぞと言っている様なもので聞いていて恥ずかしい。
「それで私の席は」
「こちらです」
「……は?」
袁知は、促された場所が末席だった事に顔を真っ赤にする。
「これは、どう言う事だ!?
まさか幽州袁家当主袁知に
末席に座れとでも!?…ひっ!?」
「…さっさと座れ」
公孫瓚が机を叩き殺気を込めた
視線を向けると袁知は、その殺気に呑まれその場にへたり込む。
「情けない…おい!!」
「はっ」
控えていた兵士がへたり込む袁知を末席に運ぶ。
「ふん…それでは軍議を始める!!」
その光景を鼻で笑った公孫瓚は、
その後軍議の開始を宣言する。
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