第37話 劉商会

「それでは先ほどの件

 前向きに検討させていただきます子敬殿」


「ありがとうございます

 それではまた後日条件の擦り合わせに

 伺わせていただきます」


子敬が頭を下げるのに合わせて

劉良も頭を下げる。


「了解しました、

 しかし劉良殿はご立派になられましたな

 前見た時は、こんなに小さかったと言うのに」


そう言って商人は、劉良を見る。


「…えぇただ未熟な所もありますから

 どうか息子をよろしくお願いします」


「ええもちろんですとも」


そう言って、子敬と商人は笑い合う。





「…すまんな」

「何がでしょうか?」


次の場所に移動している時

突然父が謝罪をしてきた。


「さっきの事だ、

 あの商会は幽州に

 昔からある所で人脈も多い

 ただその為か下手にでないと機嫌を損ねるのだ」

 

「構いませんよ今は、貴方の部下なのだから」

 

「…そうか」


そこから会話が止まる。

沮授殿から命令が降った次の日

早速父の子敬と商人達と

交渉して回っていたが

その雰囲気は、決していいわけがなかった。


「………」

「………」


…まぁ当たり前だ。

あの日、荘園に引っ越したあの日から

父とは、会ってなく手紙も交わしていない

そんな状態で何を話せばいいかわからなかった。


「…ついたな」

「ここは…」


無言の時間が少しの間流れた後

見覚えのある建物が見えてくる

ここは、何度も来た事がある場所


その名は、劉商会

叔父の劉元起の商会だ。


幼き頃からちょくちょく遊びに来ていたが

記憶が戻ってきてからは来た事がなかった。


「入ろう」

「はい」


二人が商会に入ると一人の男が近づいてくる。


「これはこれは子敬様

 よくいらっしゃいました」

「元起はいるか?」

「はい、しかし現在商談中でして

 少々お待ちいただく事になると思います

 がよろしいでしょうか?」


「急に来たのは私達だ

 それでは待たせてもらおう」

「それではこちらに」


男の案内で商会の奥に通される。

その移動の間に商会内を見て回るが

活気があり上手くいっている事がわかるが

何か違和感を感じる。


「どうなさいました?」

「…いや、活気があり盛況な様で」


そうだあまりにも活気が良すぎるのだ

劉商会は、小規模な商会で

いつもお邪魔した時

この商会は、大丈夫なのだろうかと思うぐらい静かだったのだ。


それが色んな声が響き

色々な人が行き交う

活気がある商会に変わっている。


「ありがとうございます。

 我が商会はここ数年、

 様々な商品開発に挑戦し

 販売しております。

 その商品達が大変好評をいただいており

 今は、忙しくさせていただいております」


そう言って嬉しそうに男は笑う。


「あっそうですよろしければ

 その商品達を運ばせましょう」


そう言って男は、控えていた従業員に指示を出す。


「いや「よろしく頼む」」


公務の為に来たのでもらうのはまずいと

断ろうとした劉良の言葉を劉子敬が遮る。


「ではこちらのお部屋で

 少々お待ちください」


そう言って二人を男が部屋に促し頭を下げた。

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