第36話 重要視するもの
「私が父…子敬殿の補佐に?」
琢県から人材が送られてきた数日後
突然沮授殿に呼ばれるとそう告げられる。
「わざわざ言い直さなくてもいいのに」
「いえ役所ですので」
「お堅いな〜、まぁいいや
それで話しを戻すけど
子敬殿にとある案件を
お願いする事になってね
劉良には、その補佐をお願いしたい」
そう言って差し出された資料を受け取り見る。
「…これは、私が対処する予定のはずですが」
そこに書かれていたのは、
琢郡に根を張る商人達からの陳情だった。
この案件は、自分が動くはずだったが?
「そうなんだけど、
君に任せるとほら…物騒じゃん」
「新設された部署だからと
下に見ている方が悪いのでは?」
今回の件だって、
相場より高い値段で
商人達に仕事を回しているのに
報酬を上げる様に要求してきている。
こっちは、屯田村達の冬の備えや
中抜きとか賄賂とかの
対処で忙しいと言うのに
一度痛い目に合わせた方がいい。
「まぁ自分も同感ではあるんだけどね
劉良…気づいているかい?
最近、謀略を多用している事を」
確かに最近は、忙しさも相まって
謀略と言われるものを
多く使う様になっていた…楽なのだ。
前の人生でも時々使っていたが
ここまで人を操ったり意に沿わぬものを
排除できなかった。
それもこれも全て賈詡師匠の教えの賜物だ。
「はい気づいていますが
何か問題でもありましたか?」
「いいや何も後始末まで完璧だし
謀略を使うもの達は大抵嫌われるものだが
この部署に働く大半が
君を好青年と好印象を持っている。
まったくいい師匠から学んだな
言う事なしだ」
「では何故?」
「言っただろ?
君に任せると物騒になるって」
「それは……そう言う事ですか」
沮授殿の言い回し
この問題、他の勢力を注目していて
屯田所だけで解決しては、
行けないのだろうと考えついた。
「県ですか?」
そう聞くと沮授殿が首を振る。
「軍部」
「軍部ですか?」
「そうこの屯田制は、軍部の利権に
関する事だから今回の事怒り心頭」
この屯田制最初の頃、
軍部は反対の立場であったが
刺史の説得と屯田制により採れた作物の
一部を軍部の軍事物資とする事
そして、緊急時に屯田兵として
徴用できる利点から
今は、積極的に協力してくれる立場になっている。
「確かに軍部は、
元々商人達に足元見られていて
散々煮湯を飲まされてもいましたから
怒るのもわかりますが」
「幽州に来て知ったが
国防の為の物資がここまで
中抜きされてるのも驚いたが
それで困っている軍部の足元を見て
商人が高値で売っている事に
呆れてものが言えなかったな」
「誰のおかげで安全に商売していけてるのか
忘れているのでしょう」
そんな軍部だからこそ今回は、
見せしめに商人にたいして苛烈に行く
予想が用意につきその後の混乱を想像して
二人は、ため息をこぼす。
「…こほん、まぁそう言う事で
軍部からは、準備が整うまで
この件を長引かせてほしいそうだ
その代わり長引かせる間に
屯田所で必要な物資は、軍が補填するそうだ」
なるほど軍が補填か
付けられた予算が少し心細くなっていた為
今回の話は、こちらとしてはありがたい話だ
「そうですかこの件について了解しましたが
なおさら担当を変える必要が?」
この件が軍部との取引に使われるなら
余計に裁量を与えられている自分が適任だろうと思う。
そう伝えると沮授は、
少し呆れた顔をしてため息をつく。
「はぁー君って自分の事になると
途端に鈍感になるよね
はぁ…まぁ簡単に言うと
我々は君を重要視していると言う事
…君の父よりね」
お久しぶりです。
コロナにかかり結構な時間おやすみしていました。
正直まだ本調子じゃありませんがぼちぼち再開しようと思います。
久しぶりに書きましたので
色々手間取っていて少し読みずらい所もあると思いますがちょっとずつ修正できたらなと思います。
改めてよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます