第38話 叔父登場

「子敬殿…どう言うつもりですか?」


叔父の劉元起を待つ間に出された

商会が推しているらしい物の一つ

羊羹と言うのを食べている

父、劉子敬を問い詰める。


「…父と呼んでくれないのだな」


「…公務中ですのでそれよりも

 何故この様に受け取る様な真似を」


確かにこう言う訪問の時に歓待を受ける事は、よくある話だがそう言うのは、

さりげなくするのが普通だ


だが今回の場合、あまりにも強引だった為

絶対何か裏があると思って断ろうとしたのに

父上が受け入れてしまった。


「何か裏があると思ったんだろうが

 元起は、敵ではないのだから

 そう言う事はしないよ」


「今回の件に名をつられている以上

 疑って然るべきです」


「一族のものを信じられないのか?」


「はい」

 

「お前はッ!!……いや原因は私か」


子敬は、悲しそうに項垂れる。


劉良としても信じてあげたい気持ちもあるが

劉備と繋がりがあると言うだけで

警戒心を抱いてしまうのだ。


「…私が受け入れた理由は、

 元起が伝えたい事がわかったからだ」


「伝えたい事ですか?」


「この並べられている商品達

 これの中で軍に収められる事が

 できそうなのはどれだ?」


劉良は、並べられたものを見る。

知らない物が多々あるが軍に収めるとしたら…


「この酒気が強いお酒ぐらいでしょうか?

 食料品は、保存が効かなそうですし

 後の物は、使い方がわからないので

 判断がつきませんが」


「そうか、ただこれはあまり生産できない物で将軍の様な上役の嗜好品になっている

 他にも…」


父上がつらつらと商品の説明をしていく

話を聞いていると確かに軍部が欲しがりそうな物がいくつもあった。


だがこんな物を前の人生の時に

元起叔父上は、商会で販売していた記憶はない。


「なるほど商品の事は分かりましたが

 それがこの件に繋がるのですか?」


劉良が聞くと子敬は、懐から木簡を出して広げるそこには、軍と取引している商人達の名前が入っていた。

その中には、この件に関わっている商人達もそしてここ劉商会も名もある。


「まずこの中でこの商人達は、

 食料品を主に販売している商人

 他にも武具や防具、馬商人とかもいる

 この中で劉商会が入れる所はない」


確かにその通りだが実際に名を連ねているが

…そうか。


「この新商品達ですね」


「その通り、この商品達を商会は、

 軍に売っているのだ

 そして、この商品達は皆新しく

 取引し始めた物だつまり

 軍にとっては、1


確かにこの商品達は、魅力的であるが

必ずしも必要と言う物ではない

それでも軍が買い始めたのは、

屯田制や刺史の支援のおかげで

軍の資金に余裕がでてきたからだ。


それなのに今回の件で軍を怒らせたら

取引がなくなるのも当然だろう。


「なるほどつまり叔父上は、

 この件に反対の立場を取りたいが

 できない理由があると…

 …ん?待ってください

 何で叔父上が軍が動いているのを知っているんです?」


この件で軍が動いているのは、

屯田所でも数人しか知らない事なのに

軍から情報が漏れた?

それとも…まさか…


劉良が子敬を見た瞬間

部屋の外から声が聞こえる。


「それは、俺がこの情報を軍に渡したからだ」


「…叔父上」


「よっ久しぶり」


そこに立っていたのは、叔父の劉元起だった。

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