第14話 気に入り方
『ねぇ義良?
貴方は、将来どんな道を歩みたい?』
日は沈み空には満天の星空が降り注ぐ中
隣にいた少女が問いかけてくる。
『どんな道って…故郷を追われた俺に
選択肢等ないだろ…』
義良こと劉良がそう言うと少女は、
じっと見つめ劉良を諭す。
『そんな事はないわ
まだ若いんだし何にだってなれるわよ』
『…そうか?』
『そうよ!!
例えば…その…私の旦那様…とか?』
『無理だな』
『即答!?なっ何で』
『何でってそりゃ
お前の父親に殺されたくないからな』
劉良の言葉に少女が頬を膨らませる。
『む〜情けない!!
そんなの返り討ちしたらいいじゃない』
『無茶言うな一手で斬り殺されるわ…』
そう言って、劉良は立ち上がる。
『逃げるの?』
『どの立場で言ってるんだよ…
それより俺はもう寝る
お前もさっさと寝ろよ』
『あっ…ちょっと』
劉良は、呼び止める声を無視して寝床に向かう。
『…ったく、賊に
そんな未来…来るはずないだろう』
・
・
・
「あっ…あの」
劉良は、目の前に広がる料理の数々に驚きを隠せなかった。
「どうしたの?
もしかして足りないかしら」
「いっいえ!!そんな事は」
一つ一つが大盛りで宴でもあるのかと言う量であり足りないわけがない。
「そう?…あらやだ果物がまだだったわ
今とってくるわね」
「えっ!?」
魯英がパタパタと部屋を出て行き
その入れ替わりに張純が入ってくる。
「おう劉良、昨日はって…すげーな何だこれ」
欠伸をして部屋に入って来た
張純が部屋の中の料理に驚く。
「劉良朝から、食い過ぎじゃないか?」
「こんな食えません!!」
「ハハ冗談だ、それにしてもすごい量だな」
「あっそう思うんですね…
もしかしたらこの家の流儀か何かだと
思って魯英さんに言えなかったんですよ」
実際、有力者の中には朝食であっても
自分の富を見せつける為に豪勢にするところもあるのだ。
「いやうちは、質素倹約だぞ
と言うかこれ全部魯英の手作りだな
…懐かしい」
張純は、料理をひょいと一口食べるとそう呟く。
「…懐かしいですか?」
「ああ昔は、友や部下と家で
酒盛りした時とかに
こういう風に大皿で出されたものだぜ」
そう言って張純が座り食べ始める。
「ほら劉良、お前も食え」
「あっはい」
二人は、黙々と目の前の料理を食べていく。
(しかし、食べきれないよなこの量)
「無理に食おうとせんでいいぞ。
余った分は使用人達の朝食になるからな」
「そうですよね…良かった」
考えていることがわかったのだろう
張純が食事をしながらつぶやく。
「しかし、魯英にずいぶん気に入られたな」
「そうなんですかね」
そんな事を話していると魯英が部屋に入ってくる。
「ごめんなさいね、
これぐらいしかなかったわ」
そう言った魯英の後ろには
大量の果物が積み上がる器を持ってきた使用人の姿が…
「「いや多すぎだろ(です)!!」」
《後書き》
どうもここまで読んで頂きありがとうございます。
この一カ月、あまりの忙しさに投稿が出来ませんでした。
あと数日したら落ち着くので
そこから投稿頻度が多くなると思います。
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