第15話 賊狩り
お見送り
「これを…はい!後は…大丈夫ね」
「おい、もう出るぞ」
「魯英さんありがとうございました」
「いいえ気をつけていってらっしゃい」
劉良は、魯英に服を整えて貰った事にお礼を言った後馬車に乗り込む。
「それじゃ行ってくるぞ」
「行って来ます」
「はい気をつけて行ってらっしゃいませ」
魯英に見送られながら馬車は、
刺史がいる政庁に動き出した。
「…うっぷ、食い過ぎたな。
昔はこの程度は全然大丈夫だったんだがな
劉良お前は大丈夫か?」
「はい大丈夫です」
劉良がそう言うと
歳はとりたくないなぁと張純がぼやく。
「…大守」
「ん?…面倒な」
張純は、馬車に並走していた部下から
文を受け取りその中身を見て顔をしかませる。
(…何だろう気になるが
大守の職責に関わるものかもしれない
聞くのは薮から蛇を出すようなものだ
危険だな)
「気になるか?」
「いえ」
劉良は、出来るだけ表情に否定する。
「懸命だな、好奇心は自分を殺す…
聞いて来たら叱るところだ」
そう言って張純が文を劉良に渡す。
「よろしいのですか?…では」
劉良は、了解を得て文に目を通す。
そこには中山において、
大規模な盗賊狩りが行われたと書かれていた。
「…なるほど、大守の不在を
囮に使ったのですね」
ずっと違和感を持っていた
大守がわざわざ幽州に来るのが
もちろん派閥の長だからとか
後見人だからとか理由はあるだろうが
それにしても回数が多いと感じていたのだ。
「将軍時代は、賊退治一つ
何かしらの横槍が入りやりづらかったが
ふっ…大守とはいいものだな」
賊と聞けば野蛮で目の前の事しか考えない
愚か者達と多くの者達が思っているだろう
ただ実際の賊は、案外頭が回る。
襲って奪った金銭の一部や女人など
手を変え品を変え
賄賂として地元の役人に渡す事で
目こぼしをされる事がある。
張純様も将軍時代は役人の妨害に
苦しめられたと想像できる。
ただ人事権を持つ大守になると
役人も裁ける用になり賊討伐もやりやすくなったのだろう。
「まぁそうは言っても
ちまちま潰していっても面倒だから
一気に片付けようとしたんだが…」
文には、続きがありそこには、
大半の賊と協力者は討伐できたが
目をつけていた賊を逃がしてしまったと書いてある。
そして…その逃したとされる人物の
名前が目に入る。
「知ってるのか?」
「…いえ、噂だけ」
「そうか、まぁ最近名が売れてきたからな
この褚燕と言う男は、
こいつは手強いぞ俺自身、
何度も取り逃しているからな」
…よく知ってますよ一時期
褚燕こと張燕が率いた
黒山賊の一員でしたから…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます