第二十一話 劉良をめぐる争い。

「ふむふむ、なら孫子はどう思う?」


「そうですね…」


お茶会が始まり劉虞と会話する機会を得られた劉良だったが…


「うむそう言う解釈もできるか…面白い」

「あっありがとうございます。」


…何で自分ばっかり話しを振られるんだ?

と不思議に思っていた。


劉虞刺史がここに来たのは、

先生達を勧誘する為だと思っていたのだが

違うのか?


「しかし、ここまで聡明とは」


「いえ先生達の教えが良いお陰です」


「いやいや、いくら先生が良くても

 劉良、君の才と努力がなければ

 ここまでの優秀な若者には、

 ならなかっただろう」


「ありがとうございます」


劉良は、頭を下げながら警戒度を上げる。


何故ここまで自分を褒めるのだろうか?


チラリと周りを見てみる

母上は、頑張るのよとエールを送っていて

先生達は、何かを警戒している様な感じだ。


「しかし劉良よ、

 そこまで優秀なら今の環境は、

 あまり良いとは思えないが」


劉虞の言葉にその場の空気が固まる。


「なっ何故でしょうか?」


「ふむ、確かに賈詡と華雄は、

 優秀な者だと思うが

 凉州の人間だ」


「それは…凉州を馬鹿にしてるのか?」

 

華雄が劉虞を睨み付ける。


「いや、そう言う意味ではない

 貴公らにも視察と言う重要な

 仕事があるだろうと

 言っておるのだ」


「それは…た」

「華雄!!」


賈詡が華雄の言葉を遮り

頭を下げる。


「華雄の無礼申し訳ありません、

 …しかしご安心下さい劉良を教えながらも

 視察は、順調に進んでいますので」


「しかしな〜」


「何か問題でも?」


「今が良くても視察が終われば貴公らは、

 帰ってしまうではないか

 そうなると劉良を教える者がいなくなる」


確かに先生達は、視察の為にここに来たのだ

長くてもあと一年ぐらいで帰らなくてはいけないだろう。


まぁしかしそれは、仕方ない事だ

師弟関係ではなくただの家庭教師なんだし

自分がどうこう言えるものでもない。


「それは…そうですが」


「だからな?どうだろう…

 私が劉良の新しい師を探すと言うのは?」


なるほど…劉虞刺史は、

私の師弟問題を利用して

二人に揺さぶりをかけているのだろう…


だけどそれって、

無理があるんじゃないだろうか?


劉良は、そう考え首を傾げる。

何故なら、劉良はただの一豪族の息子であり

二人が先生をやり続けても特にはなる事はない。


それを交渉材料にされても

二人は、痛くも痒くもないだろう

まぁ自分には、痛手だが…


賈詡と華雄は、一瞬視線を合わせた後

賈詡が口を開く。


「なるほど…それは劉良にとって素晴らしい提案かと」


「そうであろう「ただ」…何?」


「急に劉良も言われて困惑してるでしょ

 そうだな劉良」


賈詡先生がこちらに話しを振る。

…なるほど合わせろと言う事ですね。


「…確かに賈詡先生が言う様に

 困惑はしていますね」


「むっそうか…しかしな」


その後も劉虞刺史と賈詡先生の舌戦が繰り広げられていく。


劉良は、何が原因でこうなったかも忘れ

目の前の舌戦に心を震わせていた。


…凄いな劉虞刺史は、余裕を持って

じっくりと追い詰めていってるし、

逆に賈詡先生は、劣勢でありながらも搦手で

跳ね返し続けている。


その徐々にヒートアップしていく舌戦を止めたのは…


パンッパンッ!!

「母親の私を無視して二人で話しをしないでいただきます…か?」


にっこりと笑った母上だった。



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