第45話 意外な客人

「あらいいわよ」


「えっ?」


元起叔父上の商会との取引を認めてもらおうと母上の元に来たがあまりにも

あっさり了承が取れた事に劉良は驚く。


そんな劉良を見て高春は、くすくす笑う。


「何か変な事でも行ったかしら?」


「いっいえ、ただあまりにも

 簡単に了承が取れたので」


「それはそうよ、

 元々は取引してたんですから」


母上が言うには、

元々は、取引の大半を叔父上の商会にしていたらしいが荘園が拡大して行った頃から

できたばっかりの叔父上の

商会だけでは捌けなくなり、

叔父上の方も新たな取引先を見つけても

手が回らず商機を流したり

母上の子飼いだと勘違いされたりしたらしい

その為しっかりと地盤を持った商会になるまでは、取引をやめていたらしい。


「まぁ他にもうちが色々なものに

 手を出した事で目の敵にする

 商人が出て来たからと言うのもあったけど」


「その商人達は?」


「みーんな今回の件で潰れたわ

 本当最高ね!!」


本当に嫌いだったのだろう

いつもより母上が上機嫌だ。


「特に張世平と蘇双が

 捕まったのが良かったわ〜

 ネチネチと邪魔してくるのが

 不快で何度暗殺しようと思ったか」


張世平と蘇双、幽州で有名な馬商人達だな

直接は会ったことはないが…ん?

何か忘れているような…。


「どうしたの?考え込んで」


高春は、急に黙り込んだ劉良に首を傾げる。


「えっ?あっ何でもないです

 それよりもどうしましょうか?

 このまま私が叔父上と交渉してもいいですし母上が行うのでも構いません」


「そーねぇ良がやりなさい、

 これも学びよ」


「分かりました…では、

 連絡を入れ交渉して来ます。」


高春は、少し考えた後首を振る。


「いえ、元起から来てもらいましょう

 荘園の外は、今は物騒ですし

 あちらは、軍に見張られてるでしょうから

 荘園の方が交渉もしやすいでしょう」


「そうですか…分かりました

 そのように連絡します」


「えぇよろしくね」

         ・

         ・

         ・

と言う事で数日後

叔父上が荘園に来たのだが………


「久しぶりです…義姉上、良」


「えぇ久しぶりね」


叔父上は、汗をたらりと流しながら

目の前の圧に屈するかのように視線を下げる。


「しかし驚いたわまさか

 も連れてくるなんて

 ねぇそう思わない?良」


「…ええ」


劉良は、横からの圧を感じながら

叔父上である元起の隣にいる

をチラリと見て深いため息をついた。

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