第34話 公孫瓚との一騎打ち
「…何でこんな事に」
劉良は、手に持つ槍を握り締めて
目の前の白馬に乗った武人を見て呟く。
公孫続殿との一騎打ちも終わり
後は、牧場を案内すればいいと思っていたのに…
「劉良準備はいいな!!」
「…はい」
「声が小さいッ!!」
「はいッ!!」
「宜しいそれでは、
公孫瓚伯珪…推して参るッ!!」
そう言って槍を構え白馬を走らせ
こちらに迫ってくる。
「本当に…何でこうなった!?」
劉良は、そう言いながら槍を受け止める。
劉良と公孫瓚は、
グルグル回りながら槍を合わせる。
「強いな、続が負けるのも当然」
「お褒め頂いてありがとッ!!ございます」
劉良は、そう言いながら
徐々に激しさが増す打ち合いに
必死に喰らい付いていた。
「まぁだがやはり馬の扱いが未熟だな」
公孫瓚がそう言った瞬間
ガクッと馬がよろめき劉良の姿勢が崩れる。
(まずい、馬の息が上がってしまった!!)
劉良は、必死に姿勢を立て直す。
「ふぅ…公孫瓚様
見苦しい所を見せました
申し訳ございません」
劉良が体勢を立て直す間
攻撃の手を止めていた公孫瓚に頭を下げる。
もう少し相手になるかと思ったが
ここまで差があるとは…
武に関して少し自信を持っていた
劉良は、落ち込む。
「構わん、ここは戦場ではないのだから
それより、まだやれるな」
「はい!!」
二人は、先程のような激しい
打ち合いではなく
何処か稽古のような打ち合いを始める。
「しかし良かった、わしは一度
其方と二人で話をしてみたかったのだ」
二人で?
確かにいつも話す時は誰かいたな。
「公孫瓚様がお望みならいつでも
時間を作りましたが?」
「ふっそれが簡単にできる
立場ではないだろうどちらとも」
確かに、穏健派の中心、張純と張挙を
後見人に持つ自分と
急進派のなかで頭角を表してきている
公孫瓚殿
この二人が二人っきりで会うとなると
邪推されてもおかしくはない。
「劉良」
「はい」
「劉備玄徳、っ!!」
劉良の放った痛烈な一撃を
公孫瓚は、何とか受け止める。
「…劉備がどうしました?」
(…手が痺れている
劉良よ…そんなに劉備が憎いのか)
確かに劉良が劉備に
いい感情を持っていない事を知っていたが
予想以上の殺気に満ちた姿に見て驚く。
「…殺す気か?」
「機会があれば」
「一族殺しは、禍根を残すぞ」
「わかってます
だから今は、見逃しているのです」
そう言って劉良は、槍を強く握りしめる。
劉良は、転生してから小さいながらも
未来を変えている。
その目的は、バラバラになった大切なものを今度こそ守って幸せにする事
そして、バラバラになり不幸になった
原因である劉備に復讐する事であり、
この二つが今の劉良の原動力になっている。
(そう…今は…殺す時期ではない
だがあと少しすれば黄巾の旗が上り
天下が乱れる
その時だその時に劉備を!!)
「…もしそれを阻むとしたら?」
「ん〜あいつにそんな守る価値があるとは
思いませんがそうなったら
貴方が破滅するまで待ちますよ」
そう言ってニヤリと笑う。
「私が破滅する?
…はっ…なら一生劉備を殺す好機は、
訪れないな!!」
公孫瓚は、そう笑い飛ばしながらも
何か未来を予見されたような
嫌な感覚に陥る。
「そうですね…残念です」
「…まぁ同門であるが
わざわざ私が劉備を守る事はない」
そう言って、公孫瓚が槍を下ろし背を向ける。
「ありがとうございます」
劉良も槍を下ろす。
どうやらこれで手合わせは、
終わりのようだ。
「…ああ、一つ言い忘れていた事があった」
「ん?何でしょう」
「屯田所にうちから役人を送ることになった
よろしくしてやってくれ」
「はっ!!わかりました」
「それでは、皆の元に行こうか」
劉良と公孫瓚は、手合わせを
見学していた者達の元に馬を進めた。
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