第49話 艶事
「と言う訳です」
「なっなるほど」
劉良は、修羅場の一部始終を見ていた
春蘭から話を聞いていた。
「ふむ」
寝ている父上を見ていた叔父上が
こちらに来る。
「ただ寝ているだけだ」
「当然です」
何を当たり前なと言う顔を春蘭がする。
いや普通に部屋に入ったら
母上が号泣して寝ている父に縋りついている光景があったらまさかと思うだろう。
「しっかし、まさか離縁の話になるまで関係が悪くなるとは…連れてきたのは失敗だったな」
予想外だと気まずそうに叔父上が頭を抑える。
「いえ、元起様は悪くありません
悪いのはあの夫婦ですので」
そう言って春蘭は、冷たい視線を向ける。
「お前確か使用人だよな?
その物言いいいのか?」
「構いません奥様からこの件については、
悪いところがあれば厳しく注意してくれと
言われていますので
…まぁここまで最悪の方向に進むとは思いませんでしたが」
「…ならどうすれば良かったの?」
母上がポツリと呟く。
「そんなものどちらかが謝罪して
もう片方が許しますで終わりですよ」
「そんな簡単な話じゃない!!」
「簡単な話なんですよ」
「ちょ春蘭」
「やめとけ今は任せよう」
「…分かりました」
劉良が春蘭の言葉を指摘しようとすると
劉元起が止め二人は、成り行きを見る事に。
「そもそも奥様は、
離縁されてどうなさるおつもりだったんですか?」
「えっ…それは…その…」
「ご主人と若君と離れ離れになって、
兗州のご実家に帰られますか?」
そう問いかけられた高春は、
徐々に目に涙を浮かべポツリと呟く。
「…無理…生きてはいけない」
「でも離縁を切り出したのは貴方ですし」
「だってそれが旦那様の為になると思って
…ああ、旦那様がいない
良がいないなんて考えられない!!
それに私がいなくなったら旦那様が他の女を捕まえるかもしれない…いや!!
考えるだけでも悍ましい…
旦那様私を捨てないでッ!!」
その言葉に高春は、徐々に半狂乱になり
寝ている子敬に縋り付く。
(…えぇ)
徐々にヒートアップしながら
支離滅裂な言葉を吐く
普段とは違った母の姿を見て
劉良は、少し引いた。
「…そろそろですね」
そう言って春蘭が高春の方に歩いていく。
「…あぁどうせ捨てられるのなら
捨てられる前に共に…ッ…」
「そこまでです」
突然ドサッと倒れた母上を春蘭が
父上の隣に寝かせる。
「ふぅ…ひと段落ですね」
「いや何処が!?」
劉良は、急いで母上の側に駆け寄り
様子を見る。
…どうやら寝ているようだ。
「何です私が殺したとでも思いましたか?」
「いやそこまでではないけど」
失礼なとぷんぷんと怒る春蘭が起こるが
突然目の前で親が気絶させられたら驚くのは当然だろう。
「義姉上の狂乱久しぶりに見たな
前見た時は、劉良がこんな小さかった時か」
「確かご主人様が有力者の娘に惚れられた時ですね」
「あぁそうそう」
二人が昔話に花を咲かせているが
劉良としては、話を聞けば聞くほど
知的で落ち着いている母上の印象が
崩れ落ちていた。
「最近は、落ち着いていましたが
元々故郷も家族も捨てて
駆け落ちするほどの激情家ですから
今回の件で変な方向に突き進んでしまったんでしょうね」
「う〜んそうだよな、
義姉上の性格を忘れてた
失敗したな」
「いえそうでもないかと
感情をぶつけ合いましたし
後は、私にお任せを」
「えっどうやって?」
「若様」
「子として知る責務がある」
「両親の艶事を聞きたいですか?」
「うっ…任せる」
「はいお任せください…ふふふ」
春蘭は、意味深な笑みを浮かべ頭を下げた。
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