第十六話 人物批評家
「若様」
母上がいる部屋に向かうと扉の前に護衛の兵が立っていた。
「お疲れ様、母上は中に?」
「はい…少々お待ちを奥様
若様が戻られました!!」
「そう、なら通しなさい」
「はっ」
ん?母上の声の様子が少しおかしい。
「…若様、お客様が一人、
後ろは我が方の」
兵士が小声で中の様子を簡単に伝えてくる。
「ありがとう…劉良、入ります」
劉良は、兵士にお礼を言った後部屋に入る。
…後であの兵士の名前聞いておかないとな
「劉良、ただいま戻りました」
「お帰りなさい、お客様がいらっしゃているからご挨拶しなさい」
劉良は、男の方を向き挨拶をする。
見た事がない人だ。
「お初にお目にかかります
劉良、字名は文台と申します」
「おおこれは、ご丁寧に私は、
許劭だと!?
劉良は、その名前に驚く。
あの彼に称賛された者は出世し、
称賛されなければ没落の道を辿ると言われる人物批評家の?
母上の方をチラリと見ると母上が頷く。
どうやら嘘だと思ったが本物らしい。
「まさかこんな所で
天下に名を響かせている
許先生に出会えるとは、
この劉良大変幸運であります。」
劉良は、許先生に頭を下げる。
何故こんな大物がここにいるのだろう?
「…こいか」
「こい?」
許劭は、ふっと笑った後、
「いや何でもない、さて私はそろそろ
お暇させていただこうかな?」
「あら、お食事でもと思っていたのですけどもう帰るのですか?」
母上が残念そうに首を傾げると
許劭は、ハハハと笑い。
「兗州の美姫とうたわれた高春殿に
誘われるのは、名誉な事なれど
申し訳ない予定が詰まっておりましてな」
「ふふ昔っから、口だけは達者でしたけど
磨きがかかったようね
それでは、お見送りを」
「はは、いやここで結構…
劉文台くん」
「はっはい」
劉良は、緊張しながら返事をする。
そんな劉良に許劭は、近づき小声で
「死ぬ気で足掻きたまえよ…
そうしないと君は…奪われるのみだ」
「ッ!?…それはどう言う」
その問いに答えることはなく許劭は、
手を振って去っていった。
「……春蘭、行った?」
「はい大丈夫です」
「ハァ〜!!疲れた!!」
母上が大きな声を出しながらその場に寝っ転がる。
「奥様」
「大目に見てよ、あの人の相手は、疲れるの
何で突然くるかな〜…って、
良?どうしたの座りなさいな」
「えっ?あっはい」
許劭が出て行った扉をボーと見ていた
劉良だったが母の言葉に意識を戻し
言う通りに座る。
「あの母上は、許先生と知り合いだったのですか?」
劉良は、母上と許劭の関係を聞く。
「ん?まぁね兗州にいる時に…ね」
思い出したくない事だったのか
母上は、顔を歪ませる。
「まぁいいわ、それより視察どうだった?
何か掴めた?」
母上は、詳しく話したくないのだなと感じ取り劉良も受け入れる。
「はい、幽州の問題そして、
母上が伝えたかった事もわかりました。」
そう伝えると母上は、嬉しそうに頷く。
「そう…そうなら良かったわ
それじゃ今日はもう
屋敷に行きましょうか
私疲れたわ」
「わかりました母上」
と言う事で荘園の視察は終わり
幼い頃過ごしていたと言う屋敷に泊まることになった。
だが劉良は、知らなかった
今日許劭と出会った事で
運命が大きく変わる事を…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます