第二十五話 屯田制②
「劉良どうしました?」
「いえ何も」
いけない昔の事を思い出して
ぼーとしていた。
「それで聞かせて貰おうか?
俺が納得せざる得ない方法とやらを」
華雄先生が腕組みながら聞いてくる。
「華雄先生がと言うより武官がですね」
「そんなのは、どうでもいいんだよ
聞かせてくれ」
やっぱりさっきので機嫌悪くさせてしまった様だ。
「分かりました
その方法は、三つの事を順番通りに
してもらいます」
「その三つとは?」
一つ目…屯田制にするにあたって
優先的に負傷兵や遺族を雇う事
二つ目…その情報を武官や文官に
屯田制の議論させる前に兵士達に広める事
三つ目…信頼する武官や文官に身銭を切らせて支援させる事
「この三つをすれば反対派は、
いなくなるでしょう」
劉良の提案にそこにいる全員が考え込む。
「ふむ、一つ目の優先的に負傷兵や
遺族を雇う事と言ったがこれは何故だ?」
「雇用促進と治安維持です」
殺し合いで心を壊した者
怪我が原因で戦えなくなった者
戦いで家族を失った者
この者らは戦いで必ず出るもの達である
そして、こういう者たちは、
家が金持ちや権力者で無ければ
大半がその後の生活が困窮し、流民となり
盗賊になったり物乞いになったりする。
その者達を雇う事で流民になるのを防ぎ
税が取れ治安維持にも貢献ができる。
「遺族は別として負傷兵ってのは、
怪我や心が壊れて兵士を続けられない
者らだ、そんな者達が役に立つのか?」
華雄先生の質問に答える為に母上に話題を振る。
「母上」
「何です?」
「荘園において、負傷兵を雇ってますよね
働きは、どうですか?」
我が家の荘園は、積極的に受け入れているらしく、斡旋所で案内をしてくれた者も
負傷兵だった事を思い出す。
「正直言って、一人一人事情が違うので
扱いづらくはあります。
ただ仕事は、後がないのが
わかっているのか普通のものより
集中して頑張って成果を出していますね」
「ありがとうございます。
いま聞いていただいた通り
少し懸念点があるものの役に立つ事が
わかると思います」
そう言って周りを見る。
「…わかったそれで二つ目は」
「二つ目のその情報を武官や文官に
屯田制の議論させる前に
兵士達に広める事ですね」
「これは何のために?」
「これが反対派を抑えるのに必要な方法です」
劉良がそう言うと周りが静まり返る。
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