第102話 とにかくオリジナリティを求めていたあの頃
数年前にAmazonとよしもと主催のコンテストがありました。映画をテーマに個人出版された書籍の中からドラマの原作小説を発掘しようというコンテストです。それで優秀賞を受賞しただけで再出版もドラマ化もされなかった「シナリオライターはリアリティーを求める」(受賞時タイトル)という作品があります。
Amazon限定配信を解除して、現在カクヨムでも読めるようにしていますので、よろしければどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/16817330664100083045
この作品が生まれたキッカケは、やはり同じく最近公開した
「Obscurity」
https://kakuyomu.jp/works/16817330664091849366
をWEB小説のコンテストに応募したところ、最終選考までは残ったものの、編集者から「ややリアリティに欠ける」と講評を受けたことから一種の逆ギレ的に書いたんですよね。
告知から始まってしまいましたが、本題です。今回求めるのはリアリティではなく、オリジナリティです。
執筆においての究極のオリジナリティは「自分にしか書けないモノを書く」ことだと思います。
「自分が書きたいものを書く」とは違いますよ。言い換えれば「自分以外には書けないモノを書く」です。
このエッセイを見ている皆さんの中ではそういう気持ちで書いている方の方が多いでしょうね、きっと。
「私が書かないとこんな物語は生まれない!」
そんな気概を持ってキーボードを叩いていそうです。
こんなテーマでオリジナリティについて書こうとしている筆者ですから、当然人一倍オリジナリティを求めているんでしょ? とお思いですよね。ええ、私自身そのつもりでした。でも、どうやら違ったんじゃないかと。自戒中で自壊しそうなのです。
自分の中の矛盾に気付いたのは、正に「矛盾」という言葉がキッカケ。
私は多く短編を公開していますが、その多くがお題企画に参加したもの。
お題企画作品なので、当然そのお題に則した物語が多く集まります。その中で「絶対人とは被らないぜぃ。自分にしか書けないもの書くぜぃ」なんて思って書いていました。
ですが、前回のクロノヒョウさんの企画で、タイトル指定「オーロラの雨」というお題がありました。
主催者のクロノヒョウさんの作品は涙に映ったオーロラを「オーロラの雨」と表現した詩的な作品でした。他の多くも、オーロラという美しい現象に似合った美しさを表現した作品が多かったです。
そんな中で私が書こうとした物語は「雨の日にオーロラは見えない」ことから、その矛盾をテーマにした作品を書くつもりでした。
あらすじとしては「オーロラの雨」という組織が与野党問わず国会質疑対策を請け負い、矛盾した国政運営の中で徐々に陰から日本を支配していく物語。なお、「オーロラの雨」は現政権が作り上げた教育特例区に設立された小中高一貫校の生徒により設立された組織でしたってお話。
ところが、この「矛盾」を先に突いた作品があって、私はこの物語を公開することを断念。その時ですよ、当たり前のことに気付いたのは。
「そもそもお題に寄せる時点でオリジナリティなんてなくない?」
ってね!
そこに生まれるのは独自性ではなく、多少の個性だけ。
で、そんな当たり前のことに気付いて、今後どうすんのってことなのですが、気楽な方に進もうかと。
極端な道は「お題企画では独自性は出せない! だから参加しない!」だと思うのですが、私、そこまで尖ってないし。お題で書くの楽しいし。
ですから「お題企画ではそこそこの個性を出せればいいや」くらいに考えることにします。
皆さんも創作に対して、人生に対して道を見失いそうになることもあると思いますが、どうにも悩んでスタックしてしまったら、気楽な方へ楽しい方へ進みましょうね。その場しのぎだって良いじゃん。
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