第79話 お題との向き合い方

 こんばんは。

 ちゃんと数えていないですけど(今数えればいいのに面倒で)、自主企画のお題イベントで書いた短編が20作品くらいはあるんじゃないだろうかと思いますのです。

 とりあえずテーマなりキーワードなりを与えられているものが多いので、参加作品は似た感じになっても仕方がないとも言えるかもしれません。


 し!か!し!


 絶対カブりたくない! 予測されたくない!

 お題作品は余計にそう身構えます。

 なんなんでしょうね、あの感覚は。別に普通でも面白ければいい気もしますけど、面白くなくても予想外のものを書きたくなるんですよ。


 仮にですよ

「明日のパン」

 というお題があったとしましょう。

 まず軽く捻って同音異義語が思い付きますね。

「パン」といえば、野中ともそさんのデビュー作「パンの鳴る海、緋の舞う空」。

 そう、「パン」とは「スティールドラム」のこと。

 しかし、この程度なら誰でも考えつくでしょうから、別の工夫しなきゃ。

 そう言えば、知人のパン奏者は「『under the sea』大っ嫌い! 『パン』言うたらあの曲ばっかり演奏させられる!」などと言っています。ええ、聴いている方も「またかよ」ってなりますね。


 そういうことなんでしょうね。

 何がって?

 想像出来て、こすり尽くされて。そんな話は面白くない。


 想像もされにくくて、オリジナル成分が主張できるよう努力!


 意外と使えるのは、テーマはストレートに使いつつ、ジャンルをぶっ飛ばさせる井口昇監督っぽい外し方とか。

 例えば翌日の朝食用に買ったパンに、前日の夜に惨殺される、みたいな。パンが惨殺って、、、

 ないな。少なくとも私は書かないな。

 書いてもパンが食べられないように工夫をこらすくらい。


 うーん、それならどうしよう、と、枠組みで行き詰まったら、気分を変えてディテールを考えることもあります。

 例えば


 明日のパンが「明日の」パンであるうちに、このジャムを元に戻さなければならない。誰にも気づかれぬように。「今日の」パンがやってくる前に。


 なんて唐突に書くこともよくありますね、実際。


 たまに自分でも「捻くれている」なんて言うこともありますが、素直に裏切りたいだけなのです。予想を。



 では、また何かのお題で見かけることがあれば、是非構えて読んでみてくださいね。

 読まれているあなたは、単純に「捻くれてんなぁ」と思って下さってOKでございます。

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