第116話 私が書く←王道ファンタジーのテンプレ展開
こんにちは。
タイトルの件、新作を書く訳ではありません。
この場にこれから書きます。王道ファンタジーのテンプレ展開。
準備はいいですか?
「ああ! あるある。読んだことある!」
って人がどれだけいるか。よく見るヤツだと思いながらも、先が気になる人がどれだけいるか。楽しみです。
では、セクション区切りを越えてスタート。
§
「陛下、無礼を承知で申し上げますが」
「俺のやり方では貴族たちが納得しない、と言いたいのだろう?」
かしこまった場ではない。ギャンド王も円卓に並んだパンをスープに浸しながら頬杖をついて聞いている。進言した王より五十歳上の大臣、カリタナも、他の十二人の配下同様に、グラスを手に女たちから注がれる酒の螺旋を見ながらの発言だ。
「父のやり方は昔から気に食わなかった」
「まだあの庭師の娘のことを根に持っていらっしゃるのか?」
「ジーンだ。なにも彼女を殺すことはなかった。カリタナもそう言っていたではないか」
ギャンドは手にしていたパンをスープの中に投げ入れ、円卓に運ばれたばかりの肉を口にした。そしてそれを酒で胃の中に流し込む。過去と決別する儀式かのように。
「それを仰るなら『父殺し』と呼ばれるのを知りながら、先代を殺すこともなかったでしょうに」
カリタナは王を見る目ではなく、正に「父殺し」を見る目でそう言って酒を煽った。ほかの配下も、嫌な話題を食事の場でするなと言わんばかりに、酒を飲んでいる。
その様子を眺めたギャンドが、ゆっくりとした言葉で、口の端に笑いを置いて話し始めた。
「父殺しで結構。民の幸福の為に働くのが王の務め。さて、俺が飲んでいる酒と、貴様らの酒。同じものだと思うか?」
その含みを持った物言いに、カリタナはギョッと目を見開いた。
「陛下、ま、まさかっ!」
「俺が謀反の動きも気付かぬ阿呆とでも思ったか!」
円卓を激しく叩きながら恫喝した王に、カリタナと、四人の配下がグラスを置き、ある者は水を大量に飲み、ある者は指を喉の奥に突き入れて酒を吐こうとしている。
「ミライダ」
「はい」
「酒を毒だと勘違いしている奴らを殺せ。今すぐ」
ギャンドは常に自身の左後ろで直立していた女にそう言うと、ミライダは目にも止まらぬ早さでカリタナ以下四人の配下の喉を斬り裂いた。
「俺はジーンと約束したのだ。日の下で皆が笑い、日暮れに翌日の幸福を誰に遠慮すること無く願い合える国にすると」
§
はい、王道ですね。
ちなみにこの後ミライダにも裏切られたり(隣国に金で買われるとか)、病気で最愛の母を亡くしたり、色々あっても、結局はハッピーエンドなのです。
別にこういうのを読みたいわけでも、書きたいわけでもないんですけどねー。
よく見る展開でしょ? 見ない?
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