第43話 「ダイイングメッセージ」はまだ使えるのか?

 ダイイングメッセージに関する考え方は、2022年6月18日時点での最新作「撃沈! ふたつのメッセージ」の第1話の最初に書きました。


 ……


 ん、見に行くの面倒くさい?

 知ってたよ。じゃあ、私も改めて書くの面倒くさいから、その部分をコピペしちゃうよ。


【以下本文より】

 ――ダイイングメッセージ。

 それは、殺人の被害者が最後の力を振り絞り、自分の血で、床に犯人の手がかりになる文字や記号などを書くこと。そして、そうやって残されたメッセージのこと。

 おかしな話だよ。

 大抵の場合、被害者は直接犯人の名を書かない。これにはそれっぽい理由が付け加えられる。

 犯人に見られた場合でも、それと気付かれないように、だとか。

 あり得ないと私は思う。瀕死の状態で残した文字なのだから。犯人は読めなくとも暗号だとは気付くに違いない。消すか、最低でも細工はするはずだ。

 被害者の立場で考えてもおかしすぎ。

 どうせ死ぬのだから。犯人の名を書けば早いし、脳に血液が不足している状態で、変に頭を使う必要もないのに。

 そう言って、私が持論を展開すると、推理クラブの同級生、祥平しょうへいがポカンと口を開けたまま黙ってしまった。これは、たぶんあれだな。あきれている。

「あきれているんでしょう?」

「よくわかったね。その通りだよ。屁理屈言わせたら伊沙子いさこ以上に腹が立つヤツはいないね」

 祥平は苦笑いしている。

 私は「ふんっ」と鼻を鳴らして逆襲を始めた。

「でもね、実際に近頃のミステリーでは、ダイイングメッセージを扱う事件でも、必ずと言っていいほど、犯人の工作が入っているんだよ。リアリティの欠如は、ミステリーでは致命傷なんだからね」

「はいはい、伊沙子様、心得ておきますよ」

 しょうがないな、と私はため息をついてから、手を祥平に伸ばした。

「まあ、見せてみなよ。そのダイイングメッセージを」

【以上本文より】


 とまあ、こんな感じで。

 実際に裁判の証拠としては使えないでしょうし。無意味なんですよね、ダイイングメッセージって。


 それを言っちゃあ……と、思います?

 でも、まだ作中で言っている通り、犯人の手が加えられた場合などは使い道があります。

 しかしながら、当然捜査機関も「犯人によって手が加えられている」前提でダイイングメッセージを見るので、結果的に直接の名前を書く以外のメッセージはリアリティがないのです。

 もうミステリーでは使えない。クイズでとしか使えないのですよ。賞味期限切れなのです。

 それをあえて使う! というのも、腕の見せどころですけどね。

 私にはもうメインとしてダイイングメッセージを使う勇気はないですね。今回引用したように、劇中のクイズとして使うくらいしかねぇ。

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