第5話 働けない(雇われない)ということ

私はよく公立の美術館・博物館に出かける方だと思います。

それはね、特別興味があるとかではなく、無料だからだよ。

はい、いわゆる手帳持ちで、公立ミュージアムは無料になる所がほとんど。民間でも半額割引とか多いです。これはいかなきゃ損。

等級は精神の2級。最初は3級だったのになあ。私自身、「え? 2級? 昇級試験も受けてないのに?」なんて役所の人にジョークを言ったものです。


こうなるとですね、なかなか雇われるのは難しい。いや、そもそも雇われるのが難しいから手帳をもらったのもあるし、負のスパイラル。謎の逆効果福祉制度。


そこで私は思ったのです。

やとわれないのなら、雇われなくても収入につながる仕事をすればよし。と。

それが小説家。

そう、私は「小説家になりたい!」と書き始めたわけではなく、「小説家なら独りで行けるか。字は書けるし」という消去法で導き出された道。

エントリーシートは正に履歴書気分なのです。


だからどうした。

どうもしない。

「目的ではなく手段」なのはどの仕事を選んでも同じこと。人生を豊かにする手段。棺桶に片足突っ込むときに「楽しかったなあ」と思えることが少しでも多いように。


時として、雇われていないことに関し「いいなぁ、働かなくていいって」などと言われるけれども、そういうこと言う人に反論して私の苦しみを理解してもらおうなんて全く思っていないのよ。だって、無理だもんね。無理じゃないとしても疲れるし、それだけの労力を使って理解してもらう価値がない。

それよりも、なんとなーく小説の中で理解とまではいかなくても考えを広げてもらいたいなー、と書いている。

私個人の苦しみではなく、皆それぞれにいろんな敵と戦っているんだよ。いろんな守るべきものをもっているんだよ。ってね!


「一人の人間に認めてもらいたければ、十人の人間を認めなさい」と言ったのは誰だっけ? あ、私だ。

そんな感じで、朝のウォーミングアップを済ませて、今日も小説を書くのです。

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