第32話 取材と謝礼と固有名詞

小説を書いていて切り離せないのが、取材。

私はこれが凄く苦手なのです。

あと、できれば謝礼なんて払いたくないのですよ。お金ないから。


そこで強い味方その一つ目が公務員。

知っての通り、公務員に対しては、金品の授与は贈賄にあたるので、できません。

つまり、許可さえ取れば無料で取材し放題なのです。そして、多くの場合許可は簡単に取れます。

「暗闇からの失踪」の時は、入国管理局に何度電話したことか。

まあ、物語の中でも使ったような反則技(一般企業の面接を受ける)もしましたが。


そして、強い味方その二つ目が同級生、友人、そのツテ。

この歳(いい大人)になると、同級生がそれなりの職業でそれなりの役職になっています。自営の人もいますし。謝礼も食事一回とかで済んだり、土産物で濁したり。

ただし、議員とか、議員秘書をしている友人は、質問と返答が噛み合わないことが多い上、最後には必ず投票のお願いがやってきて、逆に利用されているんじゃないかという感じがして好きになれません(ごめんね、キミのことだよ)。


さて、私の書く物語の多くは、実際にある自治体名を使っています。架空のものは、「ポストファミリー」くらいでしょうか。

実際の店舗の名前、オーナーシェフの名前をそのまま使うといった作品もありました。その場合は当然無許可では厳しいです。しかし、大抵ひと言かければOKをいただけます。と、いうより、いままで断られたことはありません。

使わせてもらえるだろうという確信がないとそもそもお願いもしないですからね。

作品を読んで、実際にその場所へわざわざ県外から行ってみたなんて読者さんから聞くと嬉しいですし。

「A県B市」とか書くのは勿体無いし、そうする理由もよくわからないですね。


ただ、私たちの場合は、その取材に欠けた労力が報われるとは限らないので、いずれの場合にしても、「形になるかわかりませんが」と付けておくといいかもしれないですね。

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