第59話 視点、気にしますか?
私は基本的に三人称視点を使います。
主に書くのがミステリーですからね、当然なんですが。
短編では半々かなあ。たまに一人称視点も使いますね。
ただ、絶対にやらないのが、一人称視点での、視点変更。話中で語る人物を変えるやつですね。そんな面倒臭いことするくらいなら三人称視点を使います。
一人称視点って、制約も多いし、表現力も必要だし、難しいですよね。
そんなことありません?
三人称視点の一番便利なのは「一方その頃」が使えることですよね。
主人公がいない場面でも、詳細な状況が制限なく描けますもん。
ところが、web小説書いていらっしゃる方は「三人称視点は苦手です」って言う方が多いですよね。これって何故でしょう?
三人称視点が難しい、苦手だって人で多いのが、大人数(三人以上)の台詞の表現ができないって言う人が多い気がします。
確かに難しいですよね。書き分けるのは簡単でも、「小説らしく読んで心地良い書き方で書く」のは難しいと思います。
台詞の前後で、誰の台詞かを分からせる地の文のパターンをいくつか使い分けないと単調になってしまうというのは、誰しも気付くでしょうし、気をつけているでしょう。
流石に、
「おはよう」
男が言った。
「おはよう」
女が言った。
「ふたりとも早いな」
別の男が言った。
なんて、全部「○○が言った」で乗り切る人はまずいないと思います。
が、次の例くらいは頻繁に目にします。
「おはよう」
男が言った。
「おはよう」
女が応えた。
「ふたりとも早いな」
別の男が割って入った。
男女を冷やかしたそうな目がいやらしい。
これじゃあ、ねぇ。下書きかな? って思っちゃう。
誰かに以前アドバイスしたことがあるのですが、校正や、単に読み返してみている時、台詞を飛ばして、地の文だけ読んでみる方法を勧めたことがあります。
この場合
男が言った。
女が応えた。
別の男が割って入った。
男女を冷やかしたそうな目がいやらしい。
となって、動詞は全部違っていても、単調なリズムが浮き彫りになったでしょ?
「おはよう」
「おはよう」
男と女が挨拶を交わしていると、別の男が割って入ってきた。
「ふたりとも早いな」
明らかに二人を冷やかそうとしているのが、そのいやらしい目つきで見てとれる。
これが正解とは私だって言いやしませんが、最初のよりはマシでしょう?
思いつきで走り書きで書いていますから、あまり深く読み込んで突っ込まないでね。
正直、ひとつ前の、動詞を全部変えただけのパターンでも、そんなに気にはならないですよ。
あのくらいやっておけば、三人称視点も怖くはないです。多分。
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