第107話 X(旧Twitter)におけるお題に物申す

 あけましておめでとうございます。本年も宜しく申し上げます。


 はい? じゃないですよ。あけましておめでとうございます、です。今年初めての更新です。


 さっさとタイトルの件にいきますが、創作系ハッシュタグでよく目にするんです。

「〇〇という言葉を使わずに‪××を表現しろ」

 っていうやつ。

 そのハッシュタグを使った時点で「ああ、××について書いているのだな」と分かるんですよ。どんなに下手でも。

 意味ないよなあ、と思うのです。

「いや、人によっての表現の違いがあって楽しめる」

 ですって?

 私はそう思えない。だって、普段しない表現を「大喜利」のような感覚でポストするわけでしょ? その人の純然たる表現の形じゃないもの。

 やるんなら、ハッシュタグをポストに含めず、お題に沿って発言し、1日以上置いてから「これは〇〇という単語を使わずに××について書いたのですが、伝わりましたでしょうか?」とした方が訓練にもなる。


 これを読んでいる人は「そんなの好きにやらせたら良いやん」って思うでしょうから、私も好きに言いますが、単純にこの手のポストが嫌いなのですよ。

 この世から消え去ればいい! とまで思っています。


 さて、ここに私のカクヨムに掲載中の短歌集「さーてぃわんon」の「第24首&ショートストーリーのようなもの」より、ショートストーリー部分を転載します。


 §


 この世に流れはじめた瞬間から止まることのない時間。同じ時の流れに在る無数の目。その中に確かに存在する私。

 その一刻、その一点に出会わせた私はやるべき事の手を止め、独りであることを悔やみもし、歓びもした。

 もしも月が太陽のように温もりを運んだら。

 もしも深夜の海が闇を吸い込むことを止めたら。

 もしも私の隣に居て欲しいと願う君がいたら。

 しかし現実は、闇がうねる海に散らばる月明かりはその色に反して冷たく、私の周りには誰もいない。

 紅月を隠さんとする雲でさえ赤く燃えているというのに。

「今宵の月は、魚たちに食事を摂ることさえも忘れさせているようです」

 誰かに向けたメッセージが、誰かの元に届けられたか。そんな些細なことを気にすることもなく、私の時間は月と海に奪われ続けた。


 §


 普通なら真っ先に使う単語を使わず、ある状況、感情などを込めています。

「いや、お前もやっとるんかい!」って思うよねえ。まあ、それは置いておいてです。私が使わないと制限した汎用性の高い単語は何なのか。分かりますか?

 これ、そんなの分からなくていいんです。問題はそのシーンが読者のスクリーンに投影されるかどうかなので。


 さて、Xのお題ハッシュタグに不満を述べましたが、物語を書くことに多くのエネルギーを注いでいる方々が、特にそのやる気が高まっている時、そんなハッシュタグを見てしまったら「私もやる!」となるのは必然です。

 挑戦する方はその挑戦が無駄になることはないでしょう。それが「無駄」だと気付くまでは。

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