第111話 捨てられた「オリジナリティ」KAC20242

 お題

 住宅の内見


「特別なオファー」という強めの言葉を使ってはいますが、この回単体で見たら全くお題の使用方法にオリジナリティはありません(個人的見解)。

 もうね、疲れちゃってるのよ。捻ることに。発表されるお題を中心に置きながらも、物語のプロットから外れないよう書くことに。


 物語として「面白い」ことは必要最低限の責任だと思うのね。そのうえで私が求めているのは、記憶に残るもの、考えさせられるもの、です。


 川内祐著短編集「成長する物語たち」の裏表紙に作中の一文が書き出されています。


「物語は、読み終わったらそれで終わりではありません。読んだ人の心の中で、物語は成長を続けます。そして、読んだ人の成長も助けてくれます――」


「面白かった」だけじゃダメ。いや、無料公開だし、軽く読んで貰いたいだけの作品だから。そう割り切っている趣味作品(私の多くの短編もそれにあたる)だったらそれでもいいんですけどね。


 医師による安楽死、尊厳死問題をテーマに書いた「太陽のアイスバイン」みたく、毎回物語としての理想(記憶に残ること、考えさせること)をクリアするのは容易ではありません。締切が短ければ特に。

 それに加えてミステリージャンルであれば特に。


 うだうだ言い訳ばかり連ねてますが、「アンチクライマックス」もなんとか無事に2話が書けました。

 今回は現実にあった事故(衝撃的な事故だったので、記憶にある方も多いかもしれません)を軸にしています。筆者の心の深いところで「現実に沿った物語だからってリアリティが生まれるわけではないのだよ」と思いながら書いていたのは読者の皆様にはあまり関係のないことですね。

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