第85話 0から1は作れない

 一次創作であっても、必ず元になる何かが存在します。

 それは「テーマ」と呼ばれたり「ジャンル」と呼ばれたり「○○系」「○○もの」と呼ばれるヤツらです。

 0に近いと「オリジナリティ」があるという訳ですが、あまりに0に近すぎると「独創的過ぎて理解できない」ということになります。

 逆に1に近いと明解さや共感を得やすくなりますが、ありきたりなものになるでしょう。


 以下は私の書いたある小説の冒頭部分です。

 この物語では「人生」を喩えて書いてありますが、創作もこんなものです。


 ☆☆☆


 人生を喩える場合、私は真っ白い紙であると言う。

 生まれたばかりの私の目の前には、真っ白な紙が一枚ある。

 絵筆をとるか、ペンをとるか、はたまた何も書かずに折るか、切るか。

 白い紙には無限の可能性がある。それは静寂と同じで。

 私は、自分の人生の中で、果たして何度紙を白紙に戻そうと努力したかを思い返していた。

 特に幼少期の私の場合は、絵筆もペンも取らず、綺麗に折りも切もせず、ただ時折ぐしゃぐしゃに丸めてみたり、開いてシワを伸ばしてみたりの繰り返しだったようだ。

 そんな中見つけてしまった過去の紙。人生の欠片。

 あれはそう、見つけてしまったかつて描いた絵を白い絵の具で上書きした紙。そして更に、不要なものとくしゃくしゃに丸めたところ、白い絵の具がボロボロと剥がれ、自分が書いた記憶すらない絵が出てきた。そんなような経験だった。


 ☆☆☆


 私の場合は今現在でもなお、ぐしゃぐしゃにしてはシワを伸ばす、の繰り返しのようなものですが。

 それは置いておいて、いずれにせよ、白紙をどうするか。

 最初の一歩(アイディアの段階)が大切なのでしょうね。少なくとも私はそう思っています。表現力、文章力は二の次で。

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